熊谷守一(1880–1977)は、油彩画の評価が非常に高い一方で、水墨・素描・書・版画といった「紙の作品」も数多く残した作家です。
ここでは、熊谷守一の紙作品・版画作品をメディア別に整理し、
鑑賞のポイントと、査定・売却時に見ておきたい点をまとめます。
↓↓ 熊谷守一という作家像や、市場全体での評価については、こちらの記事で詳しく整理しています。

熊谷守一の紙・版画作品——メディア別に整理してみましょう
熊谷守一の作品は技法の種類が多く、
はっきりと区別がつかないものも少なくありません。
サインや鑑定の有無など、判断に迷うポイントが多いのも事実です。
ここでは、そうした熊谷守一の紙・版画作品を、
メディア別に整理しながら、見分け方や評価の考え方を分かりやすく整理していきます。
木版画 —— 熊谷守一版画の中核
熊谷守一の版画の中核をなすのが木版画です。
1960年代以降、加藤版画研究所などを通じて制作された作品が多く、
猫・花・虫・静物といった熊谷らしいモチーフが繰り返し登場します。

https://www.mutualart.com/Artwork/KUMAGAI-MORIKAZU-COLLECTION–portfolio-o/FE2420670C03926B3214838F2FC1FC44
特徴
- 色数が少なく、構成が明快
- 原画の雰囲気をうまく版に落とし込んでいる
査定時のチェック
- レゾネ(岐阜新聞社番号)の有無
- 版上サイン・印
- セット欠けの有無(版画集の場合)
シルクスクリーン —— 晩年のイメージを共有するための表現
1970年代を中心に制作されたシルクスクリーン作品も数多く流通しています。
猫・花・朝日など、熊谷の代表的なイメージを色鮮やかに再構成したものが多く、
版画の中では比較的親しみやすい存在です。

https://www.mutualart.com/Artwork/Camellias/05C7A3A10CA8F764
市場の傾向
- エディションや図柄による差が大きい
- 木版画や紙作品に比べると、比較的手に取りやすい価格帯
注意点
- 額装状態のままより、シートの確認が重要
- ヤケ・波打ち・色ムラなど状態差が価格に反映される
- 軸装・共箱の有無で評価が安定しやすい
水墨淡彩・素描 —— 熊谷守一の“もっとも素直な表現”
市場で最も点数が多く見られるのが、紙に墨・淡彩で描かれた作品です。
花・虫・鳥・猫・風景など、熊谷らしいモチーフが、非常に簡潔な線と色で描かれています。

Morikazu Kumagai Sunflowers ink and color on paper Works on Paper
https://www.mutualart.com/Artwork/Sunflowers/B766B58EF838C144E16E74DB5E812768
これらは下絵というより、
熊谷が日常の中で「見たものを描いた」行為の痕跡に近い存在です。
市場の傾向
- 小〜中サイズが中心
- 数十万円台がボリュームゾーン
- モチーフ(猫・虫・花)とサイズで価格差が出やすい
査定時のチェックポイント
- 落款・印の有無
- 「熊谷守一水墨淡彩画鑑定登録会」の鑑定登録証書が付属しているか
- ヤケ・シミ・シワなど紙作品特有のコンディション
鑑定登録証書があると、流通上の位置づけが明確になりますが、
証書がない=評価できない、というわけではありません。
書(墨蹟)
熊谷守一は、晩年に多くの書作品を残しています。

https://www.mutualart.com/
市場の傾向
- 色紙・短冊・軸装など形式は多様
- 熊谷守一らしい簡潔な言葉や、宗教的・哲学的な語句は特に安定した需要があります。
ポイント
- 書も水墨画と同様、鑑定登録会の証書が付く例が多い
- 軸装・共箱の有無で評価が安定しやすい
オリジナルとは少し違う位置づけの複製作品
市場には没後製作されたリトグラフやシルクスクリーンも多く見られます。
これらは、
- 原画や版画をもとにした再制作
であり、オリジナルの版画とは評価軸が異なります。
「熊谷守一の作品」として持っていたが、複製だった、というご相談もよくあります。
その場合も、どういう位置づけの作品かを整理することが大切です。
熊谷守一作品・ご相談のポイント
購入時期・購入先が分かると評価がしやすくなります
熊谷守一の紙・版画作品は、
- 百貨店美術部
- 画廊
- 新聞社企画
- 展覧会会場販売
など、さまざまなルートで流通してきました。
購入時期や購入場所が分かると、
- 発行元の特定
- 正規流通かどうか
- 制作背景の整理
がしやすくなります。
証明書や箱がなくても、
「1970年代に百貨店で買った」などの記憶があれば十分参考になります。
ご売却を検討する場合、まずは気軽に写真だけで大丈夫です
熊谷守一の作品は、さまざまなものがあります。
👉 買取井浦では、熊谷守一作品を数多く扱っており、必要に応じて鑑定機関への相談も含めてご案内できます。
📷 送っていただきたい写真
- 作品全体
- サイン・落款・エディション部分
- 裏面(シール・箱・額裏など)
☝️ 買取井浦では、国内外のオークションデータを踏まえたうえで、専門的に査定を行っています。
「どんなものかわからない‥‥どのくらいの価値があるのかわからない‥‥」と悩むより、
専門家の見立てで一度きちんと整理してみることが大切です。
