日本画の巨匠・東山魁夷の作品は、原画から版画、さらに新復刻画や工芸版など、多様な形で市場に流通しています。
どれも「東山ブルー」と呼ばれる独特の色彩と静謐な世界観を宿していますが、技法や発行経緯によって評価は異なります。
ここでは、査定や購入の際に知っておきたい代表的な種類を整理してご紹介します。
東山魁夷作品の5種類
1. 絹本(けんぽん)・紙本の肉筆作品
いわゆる“原画”にあたる一点もの。絹や和紙の上に直接描かれた作品です。
状態・サイズ・主題によって価格は数百万円〜数千万円に達します。
特に《道》、《緑響く》、《残照》など代表的図柄に近い構図を持つ作品は高値で取引されます。

この書籍は、東山魁夷の生誕100年を記念して開催された展覧会に合わせて制作され、展示された名品から16点を厳選して収録しています
2. リトグラフ(石版画)
全体の約65〜70%。オークションなどでは高落札率。
東山作品でもっとも流通量の多いジャンル。高度な分版技術によって、原画の色調や濃淡を忠実に再現します。
特に生前制作・監修のリトグラフは評価が高く、10万〜40万円台がボリュームゾーン。
サイズ・図柄・版元によっては100万円を超える例もあります。
3. 木版画(アダチ版画研究所など)
全体の約20〜25%。
浮世絵の伝統技術を受け継ぐ木版による摺り。東山自身が監修した作品もあり、質の高い印刷と紙肌の美しさで人気です。
特に《白馬の森》、《年暮る》、《緑の詩》などは安定した需要があります。
4. シルクスクリーン
全体の約5〜10%。
図柄による価格差が大きい。比較的少数ですが、透明感のある色層と均質な発色で、静けさと清澄感をよく表す技法。
5. 新復刻画・工芸版
約30%を占め、白馬・湖モチーフでプレミア傾向、近年も根強い人気。
東山魁夷監修のシールやレゾネNo.付きで制作された再版作品。
額装が新しいものや保存状態の良好な作品は、贈答・インテリア需要も高めです。
人気シリーズ実例・代表作の魅力
- 「緑響く」
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長野県・御射鹿池(みしゃかいけ)をモチーフにした代表作。白馬が静かに佇む構図は東山芸術の象徴です。
- 「白馬の森」
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深い森の中に現れる白馬を描いた人気シリーズ。複数の版種が存在し、リトグラフ・木版ともに高い評価。

White horse in the forest, 1994
lithograph
https://www.mutualart.com/Artwork/White-horse-in-the-forest/92164411094AB583 - 「年暮る」「静けき朝」
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雪景や朝霧など、静謐な風景を描いた晩年のモチーフ。新復刻画でも人気が高く、10〜25万円前後で安定。

End of the year
lithograph
https://www.mutualart.com/Artwork/End-of-the-year/91C3CB68EF8100916FFBB48A99BBFF91 - 「道」
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シンプルな一本道を描いた、1950年制作の代表作。原画は国立近代美術館所蔵。

Road (reproduction) lithograph
https://www.mutualart.com/Artwork/Road–reproduction-/10D70E4F12F7BB13
査定時にチェックするポイント(2025年現在)
どの版種においても、東山魁夷の作品には“静けさの美”が息づいています。
日本人の心に深く根ざしたその世界観は、今なおコレクターに愛され続けています。
技法や発行形態に応じて市場価格は幅広いですが、信頼できる専門業者に相談することで、より正確な価値を見極めることができます。
これらの情報が明確であれば、相場や真贋判定、販売経路の提案がスムーズに行えます。
- エディション番号(例:ED.100/250など)の明記
- 東山魁夷のサイン(鉛筆サインまたは印刷サイン)
- 監修・発行シール(日経新聞社、アダチ版、求龍堂など)
- 保存状態(ヤケ、シミ、退色の有無)
- 共シール・鑑定書・箱書きなどの付属品
東山魁夷作品の査定・ご相談
「リトグラフと木版、どちらが価値が高いの?」
「うちにあるのは“新復刻画”かもしれない…」
そんな時は、まずは写真を送っていただけたらOKです!
作品全体とサイン・共シール部分の2枚を撮影して送ってください。
専門家・井浦が直接確認し、技法や状態を踏まえて丁寧にご案内します。



