モーリス・ユトリロの買取・査定|油彩・パリ風景・版画作品の市場価値を解説

この記事では、モーリス・ユトリロ作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。

油彩、グワッシュ、水彩、素描、リトグラフ、ポスター、挿画本、印刷物など、作品の種類による違いや、サイン、制作年、来歴、鑑定書、レゾネ掲載、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。

目次

モーリス・ユトリロのプロフィール


シュザンヌ・ヴァラドンによるモーリスの肖像画(1921年)

引用元:シュザンヌ・ヴァラドン – https://www.connaissancedesarts.com/arts-expositions/le-portrait-de-maurice-utrillo-par-suzanne-valadon-1110800/, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12836522による

モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo、1883年〜1955年)は、フランス・パリに生まれた画家です。画家シュザンヌ・ヴァラドンの子として生まれ、エコール・ド・パリを代表する作家の一人として知られています。

ユトリロの作品は、モンマルトルをはじめとするパリの街並み、教会、坂道、広場、古い建物などを描いた風景画で広く親しまれています。華やかな都市の表情というより、静かな通りや白い壁、人気の少ない街角を、独特の哀愁をもって描いた点に特徴があります。

特に初期から1910年代頃にかけての作品では、白い壁面や石造りの建物を中心とした画面が多く、「白の時代」と呼ばれることがあります。厚みのある絵具と抑えた色彩によって、パリの街の静けさや孤独感が表現されています。

ユトリロは、人物や物語を大きく描くよりも、街そのものを主題にした画家です。モンマルトルの坂道や教会、カフェ、古い家並みは、単なる風景ではなく、彼自身の記憶や生活と結びついた場所として描かれています。

作風と代表的な作品テーマ

モーリス・ユトリロの作品は、都市風景を正面からとらえた構図と、白を基調とした壁面表現に特徴があります。教会や建物の正面、曲がり角、坂道、広場などを、落ち着いた構図で描く作品が多く見られます。

代表的なテーマには、モンマルトル、パリの街角、教会、白い壁、坂道、広場、カフェ、郊外の街並み、フランスの村などがあります。作品には、華やかな社交の場としてのパリではなく、静かな日常の風景としてのパリが描かれています。

Road to Puteaux モーリス・ユトリロ1913 – 1914
引用元:https://artsandculture.google.com/asset/road-to-puteaux-0000/fwFaDJPodvf–g?hl=ja

「白の時代」の作品では、白や灰色を中心に、建物の壁や石畳の質感が重く静かに表現されています。その後の作品では、より明るい色彩や装飾的な雰囲気を持つ街景も見られます。

ノルヴァン通りモーリス・ユトリロ1910
引用元:https://artsandculture.google.com/asset/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E9%80%9A%E3%82%8A-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AD/BwFsr7ghf05zHg?hl=ja

ユトリロの魅力は、風景を描きながらも、その場所に漂う寂しさや懐かしさを感じさせるところにあります。パリの街並みを描いた多くの画家の中でも、独特の静けさと情感を持つ作家として知られています。

モーリス・ユトリロ作品の市場での見られ方

モーリス・ユトリロ作品は、エコール・ド・パリを代表する画家の作品として、国内外の市場で長く取引されてきました。市場では、油彩やグワッシュなどの肉筆作品を中心に、版画、ポスター、挿画本、印刷物なども見られます。

肉筆作品は主題と制作時期が重要です

市場で特に重視されるのは、油彩やグワッシュなどの肉筆作品です。モンマルトルやパリの街並み、教会、坂道、白い壁の建物など、ユトリロらしさが分かりやすい主題は丁寧に確認したい分野です。

ユトリロ作品では、制作時期による見方も大切です。いわゆる「白の時代」と呼ばれる初期の作品は、作家の代表的な表現と結びついて見られることが多く、真正性、来歴、レゾネ掲載、保存状態を慎重に確認する必要があります。

作品形式によって市場での扱いが変わります

同じユトリロ作品でも、油彩、グワッシュ、水彩、素描、版画、ポスター、印刷物では市場での扱いが大きく異なります。特に海外作家の場合は、見た目だけで判断せず、技法、サイン、証明書、ギャラリーシール、購入時資料、レゾネ掲載の有無を整理することが大切です。

版画やポスター、挿画本などは、肉筆作品とは別の価格帯で見られます。ユトリロの図柄であっても、オリジナル版画なのか、後年の複製なのか、印刷物なのかによって評価の軸が変わります。

査定では資料と保存状態を総合的に確認します

ユトリロは知名度の高い作家である一方、作品形式や資料の有無によって市場での見られ方が大きく変わります。査定では、作家名だけでなく、肉筆作品か版画か、制作時期、主題、サイン、鑑定資料、来歴、保存状態を総合的に確認することが重要です。

モーリス・ユトリロ作品の査定で確認したいポイント

モーリス・ユトリロ作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。油彩、グワッシュ、水彩、素描などの肉筆作品なのか、リトグラフ、ポスター、挿画本、印刷物なのかによって、市場での見られ方は変わります。

査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。

  • 作品の種類:油彩、グワッシュ、水彩、素描、リトグラフ、ポスター、挿画本、印刷物など
  • 主題:モンマルトル、パリの街角、教会、坂道、広場、カフェ、白い壁、郊外の村など
  • 制作時期:白の時代、色彩の明るい時期、晩年作品など、制作年代を確認します
  • サイン:画面上のサイン、裏面の書き込み、版上サイン、直筆サインの違いを確認します
  • 鑑定資料:鑑定書、証明書、レゾネ掲載、ギャラリーシール、購入時資料など
  • 来歴:画廊での購入歴、展覧会歴、旧蔵歴、海外からの輸入資料などを確認します
  • 版画情報:エディション番号、版元、シートサイズ、余白、サインの有無を確認します
  • 保存状態:油彩のヒビ、剥落、汚れ、紙のシミ、ヤケ、退色、波打ち、額装による変色など

モーリス・ユトリロ作品は、知名度と人気がある一方で、肉筆作品、版画、複製品の見極めが重要な作家です。査定では、作品の雰囲気だけでなく、技法、サイン、制作時期、来歴、鑑定資料、保存状態を一つずつ確認していきます。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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