「水島哲雄」と「ミズテツオ」は同じ作家なのでしょうか。
作品や購入時の資料を調べていて、二つの名前に出会った方もいらっしゃるかもしれません。
ミズテツオは、水島哲雄の名でも作品を発表してきた画家です。人物や風景を描いた作品から、国際信号旗を取り入れた「フラッグ・シリーズ」まで、幅広い表現を展開しました。
この記事では、名前の変遷について資料をたどりながら、実際のオークションデータをもとに、作品の市場での見られ方と査定のポイントをご紹介します。
ミズテツオのプロフィールと作風
ミズテツオは、1944年に東京都に生まれた画家です。武蔵野美術学園に学び、自由美術展などで作品を発表しました。
1980年代にはイタリアに滞在し、その後もスペインやフランスなどで制作・展示を行いました。海外での個展に加え、教会のステンドグラスや大きな壁画なども手がけています。参考:ミズテツオ公式サイト
代表的な表現が、船舶間の通信に用いられる国際信号旗を絵画に取り入れた「フラッグ・シリーズ」です。
色や形を組み合わせた抽象的な画面には、細い輪郭線や、つやを抑えた絵肌などの特徴があります。一方で、人物や風景を描いた作品もあり、制作年代や作品によって異なる表情を楽しめます。参考:軽井沢ニューアートミュージアム「ミズテツオ展 MIZÙ」
水島哲雄とミズテツオ、二つの名前について
軽井沢ニューアートミュージアムに掲載された本人の回想には、次の記述があります。
ある時から、本名から母の姓「水島」を使うようになる。
「水島」という名前にも、本人の家族にまつわる背景があったことが分かります。出典:軽井沢ニューアートミュージアム「作家からのメッセージ」
また、神田画廊名義の略歴資料では、1988年に海外の画商とヨーロッパ・アメリカでの独占契約を結び、画名を水島哲雄から「MIZU」に変更したと紹介されています。
この資料に沿えば、海外での活動を広げる時期に、名前の表記も変わったことになります。出典:神田画廊名義の略歴資料(外部サイト掲載PDF)
軽井沢ニューアートミュージアムの略歴にも、1994年にパリで個展「MIZU」を開催したことが記されています。現在の公式サイトでは、「ミズテツオ/TETSUO MIZÙ」の表記が使われています。参考:軽井沢ニューアートミュージアム、公式サイト
オークションでは、初期作品もミズテツオの名で紹介されています
実際のオークション記録では、「水島哲雄」「水島哲雄(ミズテツオ)」「ミズテツオ」という表記が確認できます。
今回のデータから、制作年が記載された例を整理しました。
| 出品記録上の作家名 | 技法 | 制作年代 |
|---|---|---|
| 水島哲雄 | 油彩作品 | 1980年代 |
| 水島哲雄(ミズテツオ) | 油彩作品 | 1980年代 |
| ミズテツオ | 水彩作品・油彩作品 | 1970年代 |
| ミズテツオ | 油彩作品 | 1980年代 |
初期の作品も「ミズテツオ」の名前で掲載されているため、掲載名だけで制作年代を区切ることはできません。
作品について調べる際は、両方の名前で資料を探し、制作年や技法、サインをあわせて確認するとよいでしょう。
※表の作家名と制作年は、出品記録の記載に基づきます。掲載名が制作当時の呼称や作品上の署名と一致するかは未確認です。後年の活動名で整理された可能性もありますが、個々の表記が決められた経緯は確認できていません。
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ミズテツオ作品の市場での見られ方
実際のオークションデータでは、1990年代の油彩作品に、評価が目立つ例が見られます。
大作だけでなく、中小サイズにも評価された例があり、大きさだけで価値が決まるわけではありません。制作年代に加えて、色彩や構成、保存状態などをあわせて確認することが大切です。
また、画面の広がりを生かした大きな作品にも取引例があります。作品ごとの特徴を丁寧に見ながら、市場での見られ方を検討します。
フラッグ・シリーズとの関係についても、題名や制作年代だけで判断せず、実際の画面や関連資料を確認します。
初期の人物画や風景画もご相談いただけます
フラッグ・シリーズで知られるミズテツオですが、初期の人物画や風景画にも、注目したい作品があります。
今回確認したデータでは、1980年代の風景を描いた油彩作品に評価された例があり、少年や人物の顔を描いた小品にも取引例が見られました。
同じ時期の作品でも、題材や技法、画面の内容はさまざまです。初期作品をひとまとめにせず、それぞれの持ち味を確認します。
水島哲雄の名前が記された作品や、よく知られた抽象作品とは雰囲気が異なる作品も、ご相談いただけます。古い購入資料や画廊シールなどが残っていれば、あわせて拝見します。
油彩・水彩・版画など、技法も幅広く見られます
出品記録には、キャンバスや板に描かれた油彩のほか、水彩、グワッシュ、鉛筆画、エッチングなどがあります。
紙に描かれた作品でも、直接描いたものと版画では確認するポイントが異なります。また、複数の技法を組み合わせた作品や、陶板などに描かれた例もあります。
「額に入っていて種類が分からない」「数字が書いてあるけれど版画なのか知りたい」といった場合も、写真からご相談いただけます。
査定では作品の種類を確認したうえで、それぞれに合った取引事例を参考にします。
ミズテツオ作品の査定で確認したいポイント
査定では、主に次の点を確認します。
- 制作年:画面や裏面に記された年記
- 技法・素材:油彩、水彩、グワッシュ、素描、版画など
- 作品の内容:人物、風景、抽象的な構成など
- サイズ:作品の縦と横の大きさ
- サイン・裏面の情報:署名、作品名、共シール、画廊シールなど
- 付属資料:画集、展覧会図録、購入時の書類など
- 保存状態:絵具や紙の状態、額装、過去の修復など
今回のデータには、展覧会への出品歴や図録掲載が記された作品もありました。こうした資料が残っていれば、作品名や制作時期を確認しやすくなります。
また、額のない油彩作品にも取引例があります。額装されていない場合も、そのままの状態でご相談ください。
ミズテツオ(水島哲雄)作品についてよくあるご質問
水島哲雄と書かれた作品も相談できますか?
はい、ご相談いただけます。ミズテツオは水島哲雄の名でも作品を発表してきた画家です。作品や購入資料にある名前も手がかりに、サインや裏面の記載などをあわせて確認します。
フラッグ・シリーズか分からなくても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。人物や風景を描いた作品もご相談いただけます。ご自身でシリーズや技法を判断する必要はありませんので、まずは作品全体とサイン、または裏面の写真をお送りください。
額がない作品も査定してもらえますか?
はい、額がなくてもご相談いただけます。新しく額を用意せず、そのままの状態で写真をお送りください。作品の内容や保存状態、裏面の記載などを拝見します。
ミズテツオ(水島哲雄)作品の買取・査定をご希望の方へ
ミズテツオ作品は、初期の人物や風景から、フラッグ・シリーズをはじめとする抽象作品まで、幅広い表現があります。
査定では、名前の表記だけで判断せず、制作年代や技法、作品の内容、付属資料をあわせて確認します。
まずは、スマートフォンで撮影した写真2枚をお送りください。
- 作品全体が分かる写真
- サイン、または作品裏面の写真
画廊シール、共シール、購入時の資料などがあれば、あわせてお送りください。無理に額を開ける必要はありません。
売却を急いでいない方も、お気軽にご相談いただけます。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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