脇田和作品の買取・査定|鳥・子ども・油彩画の評価ポイント

この記事では、脇田和作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。

油彩、グワッシュ、コラージュ、素描、リトグラフ、シルクスクリーン、画集、版画セットなど、作品の種類による違いや、サイン、裏面の記載、登録証書、画廊シール、文献掲載、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。

目次

脇田和のプロフィール

1960年の脇田
株式会社新潮社 (Shinchosha Publishing Co, Ltd.) – 『藝術新潮』新潮社, 1960年9月号, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43004001による

脇田和(わきた かず、1908年〜2005年)は、東京都に生まれた洋画家です。若い頃にドイツへ渡り、ベルリン国立美術学校で学びました。帰国後は洋画家として活動し、1936年には猪熊弦一郎、内藤省、佐藤敬らとともに新制作派協会の創立に参加します。

脇田和の作品は、子ども、鳥、花、猫、静物、楽器、窓辺、庭など、身近なモチーフをもとにした穏やかで詩情ある画面に特徴があります。強い劇的表現よりも、日常の中にある小さな気配や、ものと人との静かな関係を、豊かな色彩と柔らかな構成で描きました。

戦後も新制作協会を中心に発表を続け、国内外の国際展にも出品しました。1955年には第3回日本国際美術展で最優秀賞を受賞し、1956年には第1回グッゲンハイム美術賞日本国内賞を受賞するなど、日本の戦後洋画壇で重要な位置を占めた作家です。

軽井沢には脇田美術館があり、現在もその画業が紹介されています。油彩作品だけでなく、素描、版画、コラージュなどにも取り組み、昭和から平成にかけて長く制作を続けた洋画家として知られています。

663highland – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=151021601による

作風と代表的な作品テーマ

脇田和の作品は、やわらかな色彩、詩的な構成、身近なモチーフへの温かなまなざしに特徴があります。鳥や子ども、花、猫、楽器、室内の小物などが、どこか物語の一場面のように描かれることがあります。


1968年に制作したリトグラフ作品『りんごとびんと鳥』です。東京国立近代美術館に所蔵されています。
https://www.momat.go.jp/collection/w00100

代表的なテーマには、鳥、子ども、花、猫、果実、静物、楽器、窓辺、庭、家族、軽井沢、室内風景などがあります。特に鳥は、脇田和作品を語るうえで重要なモチーフです。

1953年に制作したグアッシュ作品『鳥を持つ女』です。赤を基調とした画面に、鳥を持つ人物が描かれています。
こちらも同じく、東京国立近代美術館に所蔵されています。
https://www.momat.go.jp/collection/w00099

画面の中の鳥は、単なる動物としてだけではなく、自由、対話、記憶、音楽のような感覚を含んでいるようにも見えます。子どもや少女と鳥を組み合わせた作品では、やさしさと静かな内面性が同時に感じられます。

静物画では、花や果実、器、魚、貝殻などが穏やかな色面の中に配置され、落ち着いた空気をつくり出しています。派手に主張する作品というより、長く見ているうちに色や形の響きが伝わってくるところに、脇田和作品の魅力があります。

脇田和作品の市場での見られ方

脇田和作品は、戦後洋画を代表する作家の作品として、国内オークションでも継続的に取引されています。市場では、キャンバスに油彩の作品が中心で、鳥、子ども、花、果実、猫、室内、静物などを描いた作品が多く見られます。

データを見ると、小品からF6号、F8号、F10号前後の油彩作品では、十数万円から数十万円台で取引される例が多くあります。脇田和らしい鳥や子ども、花、果実などの主題が明確な作品では、想定より評価が伸びることもあります。

特に鳥を描いた作品は、市場でも注目されやすい傾向があります。赤い鳥、銀鳩、鳥と花、鳥と少女、鳥と果実、双鳥など、作家の代表的なモチーフが画面の中心にある作品は、脇田和らしさが伝わりやすい分野です。

文献掲載作品や展覧会歴が確認できる作品は、作品の位置づけを判断するうえで大切な手がかりになります。作品集に掲載されている油彩や、脇田和の会の登録証書が確認できる作品では、資料性を含めて丁寧に確認したいところです。

一方で、登録証書や文献掲載がある作品でも、必ず落札されるとは限りません。エスティメートが高めに設定されている場合や、画面にヒビ、剥落、絵具の浮き、絵具の縮み、修復などがある場合には、市場で慎重な選別が働くことがあります。

グワッシュや紙に油彩、コラージュ作品も流通しています。これらは油彩キャンバス作品とは別の価格帯で見られますが、作家らしい人物や鳥、構成の面白さがある作品、登録証書や画廊シールが確認できる作品は、丁寧な確認が必要です。

また、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画作品も多く見られます。版画では、サイン、エディション番号、技法、版面やマージンの状態、額装状態を確認します。複数点セットで流通する例もあり、油彩とは市場での見られ方が大きく異なります。

脇田和作品は、作家名だけで一律に判断するのではなく、油彩か紙作品か、版画か、主題は何か、サイズ、サイン、裏面記載、登録証書、画廊シール、文献掲載、保存状態を総合的に見ることが大切です。

脇田和作品の査定で確認したいポイント

脇田和作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。キャンバスに描かれた油彩なのか、紙にグワッシュや油彩を用いた作品なのか、コラージュ作品なのか、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画なのかによって、市場での見られ方は大きく変わります。

査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。

  • 作品の種類:油彩、グワッシュ、コラージュ、紙に油彩、素描、リトグラフ、シルクスクリーン、画集など
  • 主題:鳥、子ども、少女、花、果実、猫、魚、静物、室内、庭、窓辺など
  • サイズ:F3、F5、F6、F8、F10、F15、F20、変形サイズなど、号数や実寸を確認します
  • サイン:画面上のサイン、キャンバス裏や木枠のサイン、タイトル、年記を確認します
  • 登録資料:脇田和の会登録証書、登録番号、作家証明書、自作証明書などを確認します
  • 画廊シール:日動画廊、梅田画廊、名古屋フォルム画廊、ギャルリーユマニテ、南天子画廊などのシールを確認します
  • 文献・展覧会歴:作品集掲載、展覧会出品歴、図録掲載、旧蔵資料を確認します
  • 保存状態:ヒビ、剥落、絵具の浮き、絵具の縮み、修復、シミ、ヤケ、波打ち、裏打ち、額装の傷みなど

脇田和作品は、鳥や子ども、花や果実を通して、穏やかで詩情ある世界を描いた点に魅力があります。査定では、作品形式、主題、サイズ、サイン、裏面記載、登録証書、画廊シール、文献掲載、保存状態を整理し、作品ごとの市場での見られ方を確認していきます。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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