萬鉄五郎(よろず てつごろう/1885–1927)は、大正期の前衛洋画家の先駆者として知られる画家です。フォービスムやキュビスム、表現主義など、同時代ヨーロッパの先鋭的動向をいち早く吸収し、さらに晩年は南画(水墨画)にまで画境を広げました。代表作《裸体美人》(1912年)は、東京美術学校の卒業制作として提出されながら「奇妙な絵」と酷評されたものの、今では重要文化財に指定された日本近代美術史上の金字塔です。本記事では萬鉄五郎の略歴と、買取・査定のポイントをダイジェストでご紹介します。
萬鉄五郎とは
岩手県東和賀郡(現・花巻市東和町)出身。東京美術学校西洋画科で黒田清輝らに学び、在学中からマチスやゴッホに強い関心を示し、激しい色彩と大胆なタッチを特徴とする独自の画風を切り拓きました。1914年にはヒュウザン会・二科会・春陽会などの在野団体にかかわり、のちに自ら主宰した円鳥会を通じて同世代の前衛画家たちを育成します。晩年は病気療養のため神奈川・茅ヶ崎に移り住み、油彩の前衛作品と並行して南画・禅画にも取り組み、42歳で没しました。
代表作と作風
代表作には《裸体美人》《もたれて立つ人》《赤い目の自画像》《雲のある自画像》《日傘の裸婦》《地震の印象》などがあり、初期のフォービスム・表現主義的時代から中期のキュビスム的構成、晩期の南画・禅画まで、作風の変転が激しいことで知られます。油彩・素描に加え、書簡や俳画、墨戯といった小品も数多く残しており、岩手県立美術館・東京国立近代美術館・神奈川県立近代美術館などに主要作が収蔵されています。
買取・査定のポイント
萬鉄五郎作品は油彩本画が市場に出ることは稀ですが、茅ヶ崎時代の南画・水墨作品、素描、書簡、俳画は個人コレクションで比較的流通しています。査定では、(1)前衛期(〜1920年頃)か、南画期(1921年以降)かの時代特定、(2)署名・印章の真贋、(3)共箱・識箱の有無、(4)紙本の保存状態、(5)旧蔵歴(岩手関係者・円鳥会・茅ヶ崎関係者)などが重要です。真贋判定が非常に難しい領域のため、岩手県立美術館や専門研究者の調査が不可欠です。
📖 より詳しい経歴・代表作解説・買取実務はnote本編をご覧ください → 【保存版】萬鉄五郎の生涯と代表作ガイド
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
