この記事では、マルク・シャガール作品の市場傾向と査定ポイントを整理しています。リトグラフ、エッチング、挿画本、ポスター、油彩やパステルなど、作品の種類による違いや、サイン、番号、鑑定書、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。
マルク・シャガールのプロフィール

マルク・シャガール(1887年〜1985年)は、現在のベラルーシに生まれた画家です。20世紀を代表する芸術家の一人として知られています。
若いころにロシアで美術を学び、その後パリへ渡りました。パリでは当時の新しい芸術に触れながらも、特定の流派にとらわれず、自分の記憶や夢、故郷への思いをもとにした独自の表現を築きました。
シャガールの作品には、恋人たち、花束、動物、故郷の街、聖書の物語などがよく登場します。現実の風景をそのまま描くというより、夢や記憶の中の世界を自由に組み合わせたような、幻想的な画面が大きな魅力です。
油彩画だけでなく、リトグラフやエッチングなどの版画、ステンドグラス、舞台美術、陶芸など、幅広い分野で活躍しました。フランス・ニースには、現在もマルク・シャガール国立美術館があります。
作風と代表的な作品テーマ
シャガール作品の特徴は、鮮やかな色彩と、夢の中のような幻想的な世界観です。空を飛ぶ恋人たち、花束を抱えた人物、青い馬、鳥、牛、サーカス、聖書の場面など、詩的なモチーフが多く描かれています。

引用元:https://artsandculture.google.com/asset/dans-mon-pays/pwGQGdh1RVuLfA
特に「恋人たち」や「花束」は、シャガールらしさが伝わりやすい人気のテーマです。また、故郷ヴィテブスクの記憶や、ユダヤ文化、旧約聖書の物語も、作品の中にたびたび登場します。
版画作品では、「ダフニスとクロエ」「聖書」「サーカス」「オデッセイ」などのシリーズがよく知られています。シャガールは版画にも力を入れており、リトグラフやエッチングの分野でも高く評価されています。

Marc Chagall Daphnis And Chloe, circa 1961 lithographs printed in colors
引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Daphnis-And-Chloe/6383E54300A820E6
一方で、シャガール作品は種類が非常に多いため、同じ「シャガール」と書かれていても、油彩画、直筆サイン入り版画、挿画本からの版画、ポスターでは評価の見方が大きく変わります。
マルク・シャガール作品のオークション市場の実態
マルク・シャガール作品は、国内オークションでも多く取引されています。油彩、パステル、素描、リトグラフ、エッチング、挿画本、ポスターなど、流通している作品の種類がとても多い作家です。
まず大きく分けたいのは、原画か版画かという点です。油彩、パステル、墨や色鉛筆などで描かれた一点ものは、版画とは別の価格帯で評価されます。今回のデータでも、鑑定書が付いた油彩やパステル作品では、1,000万円を超えて落札された例が確認できます。
一方で、一般の方がお持ちのシャガール作品で多いのは、リトグラフやエッチングなどの版画です。直筆サインがあり、限定番号や作品集番号が確認できるものは、数十万円から100万円を超える例もあります。
ただし、シャガールの版画にはいくつか種類があります。直筆サイン入りの限定版、挿画本から取り出された版画、D.L.M.誌に掲載されたリトグラフ、展覧会ポスター、版上サインのエスタンプなどがあり、それぞれ市場での見られ方が違います。
市場での見方は、おおまかに次のように分けられます。
- 油彩・パステル・素描などの原画:鑑定書、来歴、制作年、状態がとても重要です。
- 直筆サイン入りリトグラフ:サイン、エディション番号、作品集番号、余白の状態を確認します。
- エッチング・アクアチント:挿画本や版画集との関係、サインの有無、シート状態を確認します。
- 挿画本・版画集:作品が揃っているか、奥付やケースが残っているか、ページの状態を確認します。
- ポスター・雑誌掲載版・エスタンプ:シャガール作品であっても、直筆サイン入り版画とは価格帯が異なる場合があります。
シャガール作品では、Mourlot、Cramer books、Kornfeld、Sorlierなどの番号が資料に記載されていることがあります。これらは作品を確認するための大切な手がかりですが、一般の方がご自身で判断するのは難しい部分です。
また、保存状態も重要です。シャガールの版画は色彩が魅力のため、ヤケ、シミ、退色、波打ち、中折れ、テープ跡、余白のカットなどがあると評価に影響することがあります。
シャガールは非常に人気の高い作家ですが、流通数も多いため、作家名だけで一律に高額になるわけではありません。作品の種類、サイン、番号、状態を丁寧に確認することが大切です。
マルク・シャガール作品の査定で確認したいポイント
シャガール作品を査定する際は、まず「これは何の種類の作品か」を確認します。原画なのか、リトグラフなのか、エッチングなのか、ポスターなのかによって、見方が大きく変わります。
査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。
- 作品の種類:油彩、パステル、素描、リトグラフ、エッチング、挿画本、ポスターなど
- サイン:直筆サイン、スタンプサイン、版上サイン、サインなしの違い
- エディション番号:EA、HC、AP、限定番号などの表記
- 作品集番号:Mourlot、Cramer books、Kornfeld、Sorlierなどの記載
- シリーズ名:ダフニスとクロエ、オデッセイ、ダビデの詩篇、ラ・フォンテーヌの寓話など
- 鑑定書:原画の場合、Comité Marc Chagallの鑑定書の有無
- 資料:保証書、購入時資料、画廊シール、文献掲載情報など
- 状態:ヤケ、シミ、退色、波打ち、中折れ、余白のカット、テープ跡など
特に確認したいのは、サインの種類です。シャガール作品には、本人が鉛筆などで書いた直筆サインのほか、印刷で入っている版上サイン、スタンプサイン、サインなしの作品があります。見た目では分かりにくいことも多いため、サイン部分の写真があると確認しやすくなります。
原画作品では、鑑定書の有無が非常に重要です。油彩、パステル、墨作品などでは、作品内容だけでなく、Comité Marc Chagallの鑑定書、来歴、文献掲載、保存状態をあわせて確認します。
版画作品では、作品集番号やエディション番号、余白が残っているかどうかを確認します。額に入っている作品では見えない部分もありますが、額裏や保証書、購入時の資料が手がかりになることがあります。
シャガール作品は、一般の方にとって判断が難しい作品が多い分野です。「版画なのかポスターなのか分からない」「サインの種類が分からない」という段階でも、写真から確認できることがあります。
マルク・シャガール作品の買取でよくあるご質問
Q. 家にあるシャガール作品が、版画なのかポスターなのか分かりません。
A. ご自身で判断できなくても問題ありません。シャガール作品には、直筆サイン入りのリトグラフ、挿画本由来の版画、D.L.M.誌のリトグラフ、リトポスター、エスタンプなど、さまざまな種類があります。作品全体、サイン、余白、裏面、額裏の写真を確認しながら、どの種類に近いものか整理します。
Q. サインがあると高くなりますか?
A. サインは大切な確認ポイントですが、直筆サイン、版上サイン、スタンプサインでは意味が異なります。直筆サイン入りの限定版は評価されやすい一方、版上サインやポスターの場合は別の見方になります。サイン部分の拡大写真があると確認しやすくなります。
Q. MourlotやCramerという番号が分かりません。
A. MourlotやCramerは、シャガール版画の作品確認で使われる代表的なレゾネ情報です。お手元の作品に番号が分からなくても、作品名、図柄、サイズ、サイン、エディション番号などから確認できる場合があります。保証書や販売時の資料があれば、あわせて拝見します。
Q. シャガールの絵なら何でも高く売れますか?
A. シャガールは非常に人気の高い作家ですが、作品の種類によって価格帯は大きく変わります。油彩やパステルなどの原画、直筆サイン入り版画、挿画本由来の作品、ポスターでは評価の見方が異なります。作家名だけで一律に判断せず、作品ごとに確認することが大切です。
Q. シミやヤケ、色あせがあっても査定できますか?
A. はい、査定できます。シャガールの版画では、ヤケ、シミ、退色、波打ち、中折れ、テープ跡、額装による傷みが見られることがあります。状態は評価に影響しますが、作品名、サイン、レゾネ番号、エディション、図柄の人気なども含めて総合的に確認します。
マルク・シャガール作品の査定・ご相談について
マルク・シャガール作品は、油彩やパステルなどの原画作品と、リトグラフ、エッチング、挿画本、ポスターでは査定の見方が大きく変わります。まずは作品の種類、サイン、エディション番号、作品集番号、鑑定書や保証書の有無を確認することが大切です。
最初はスマホ写真からのご相談でも問題ありません。作品全体、サイン、エディション番号、余白、裏面、額裏、保証書、鑑定書、画廊シール、状態が気になる部分の写真をお送りください。
「版画なのかポスターなのか分からない」「サインが直筆か印刷か知りたい」「番号や保証書の見方が分からない」といった段階からでもご相談いただけます。売却を前提にしていない場合でも、作品の見方や今後どのように扱うべきかを含めて丁寧に確認いたします。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
