
アート作品を購入したあと、皆さんはどんな資料を残していますか。
作品そのものは大切に飾っていても、箱や証明書、領収書、作品リスト、購入時のメールなどは、ついバラバラになってしまうことがあります。
「作品が手元にあれば大丈夫」
「売るつもりはないから、書類は必要ない」
「箱は場所を取るから捨ててもいいのでは」
そう思われる方も多いかもしれません。
けれど、美術品の場合、作品に関する資料や付属品はとても大切です。
将来的に査定や売却、相続、作品整理、保険、展覧会への貸出などが必要になったとき、作家名、作品名、購入先、購入価格、来歴、証明書、箱、作品裏の情報などが残っているかどうかで、確認のしやすさが大きく変わることがあります。
また、資料を残すことは、売るためだけの準備ではありません。
その作品が、いつ、どこで、どのように購入され、大切にされてきたのかを次に伝えるための記録でもあります。
この記事では、アート作品を購入したあとに大事に保管しておきたい書類と付属品を、美術商の視点からランキング形式でご紹介します。
第1位 作品証明書・鑑定書・販売証明書
まず大切にしたいのは、作品証明書、鑑定書、販売証明書など、作品の情報を確認できる書類です。
これらには、作家名、作品名、制作年、技法、サイズ、エディション番号、販売元などが記載されていることがあります。
特に、版画、写真、立体作品、現代アートなどでは、作品証明書や販売証明書が重要な確認資料になる場合があります。
証明書があることで、将来的に査定や売却、相続、作品整理を行う際にも、作品の情報を確認しやすくなります。
ただし、ここで注意したいのは、日本では必ずしも紙の証明書が発行されるとは限らないという点です。
ギャラリーや百貨店で購入した作品でも、立派な証明書が付いていないことは珍しくありません。
その場合は、作品裏、額裏、箱に貼られたシールや、購入時の作品リスト、領収書、ギャラリーとのやり取りなどが、作品を確認するうえで大切な資料になります。
証明書がないからといって、すぐに価値がないというわけではありません。
大切なのは、作品に関する情報をできるだけ残しておくことです。
第2位 作品裏・額裏・箱に貼られたシール
日本の美術品では、作品証明書の代わりに、作品裏や額裏、箱に貼られたシールが大切な情報源になっていることがあります。
ギャラリーシール、百貨店のシール、展覧会シール、管理シール、販売元のラベルなどです。
そこには、作家名、作品名、技法、サイズ、管理番号、ギャラリー名、展覧会名などが記載されている場合があります。
こうしたシールは、作品の購入経路や来歴を確認する手がかりになることがあります。
そのため、作品裏や額裏、箱に貼られたシールは、剥がさずそのまま残しておくのがおすすめです。
また、シール部分はスマートフォンなどで写真を撮っておくと安心です。
作品を移動したり、額装を変えたり、箱を整理したりする際にも、写真が残っていれば後から確認しやすくなります。
特に、箱に貼られているシールや、額裏のラベルは見落とされやすい部分です。
処分する前に、作家名や作品名、ギャラリー名などが書かれていないか、必ず確認しておきましょう。
第3位 領収書・請求書
領収書や請求書も、大切に保管しておきたい資料です。
領収書や請求書には、購入日、購入価格、購入先などが記録されています。
これは、将来的に作品の来歴を確認するうえで役立つことがあります。
特に、ギャラリー、百貨店、アートフェア、オークション、作家本人から購入した作品の場合、購入先がわかる資料は重要です。
また、法人や個人事業主として作品を購入した場合には、会計処理や資産管理の面でも、領収書や請求書が必要になることがあります。
紙の領収書はファイルに入れて保管し、あわせてスマートフォンで撮影したり、スキャンしてデータ保存しておくと安心です。
第4位 作品リスト・キャプション・販売時の資料
ギャラリーや百貨店、アートフェアなどで購入した場合、作品リストやキャプション、販売時の資料があることがあります。
これらには、作品名、作家名、制作年、技法、サイズ、価格、エディション番号などが記載されている場合があります。
一見すると簡単な紙やプリントに見えるかもしれませんが、後から作品情報を確認するうえでは、とても役立つ資料です。
展覧会で購入した作品の場合、その作品がどの展覧会に出品されていたのかを示す手がかりにもなります。
作品リスト、価格表、キャプション、作家プロフィール、展覧会案内などは、できるだけ作品と一緒に保管しておきましょう。
第5位 箱・黄袋・差し箱・保護袋
書類ではありませんが、箱や袋もとても大切です。
作品箱、差し箱、合わせ箱、黄袋、保護袋、収納ケースなどは、作品を保管したり移動したりするときに役立ちます。
特に、陶芸、彫刻、工芸、日本画、掛軸、版画などでは、箱が作品とセットで大切に扱われることがあります。
箱には、作家名、作品名、ギャラリー名、管理番号、購入時の情報などが書かれている場合もあります。
場所を取るため、つい捨てたくなることもあるかもしれません。
しかし、美術品の場合、箱や袋は単なる梱包材ではなく、作品に関する資料の一部になることがあります。
もちろん、箱がないからといって、必ず価値がなくなるわけではありません。
ただ、箱や付属品が残っていることで、作品を安全に保管しやすくなり、将来的な査定や売却、相続の際にも説明しやすくなります。
第6位 ギャラリーや作家とのメール・やり取り
購入時のメールやメッセージも、できるだけ残しておきたい資料です。
たとえば、ギャラリーとの購入確認メール、納品連絡、作品説明、価格のやり取り、作家本人とのメッセージなどです。
紙の証明書がない場合でも、こうしたやり取りが購入経路や作品情報を確認する手がかりになることがあります。
最近では、オンラインで作品を購入する機会も増えています。
その場合、メールや注文履歴、購入ページのスクリーンショットなども大切です。
すべてを紙で残す必要はありません。
メールを保存したり、PDFにしたり、スクリーンショットを撮っておくだけでも、後から確認しやすくなります。
第7位 展覧会DM・図録・掲載資料
作品が出品された展覧会のDM、図録、掲載誌、ウェブ記事なども、保管しておきたい資料です。
展覧会DMや図録には、作家の活動歴や作品の位置づけが示されている場合があります。
また、作品が実際に展覧会で紹介されていたことを確認する手がかりになることもあります。
特に、若手作家や現代アートの作品では、購入時にはまだ評価が定まっていなくても、作家の活動が広がるにつれて、過去の展覧会資料が重要になっていくことがあります。
作品そのものだけでなく、その作品がどのような文脈で発表されていたのかを残しておくことは、文化的にも意味があります。
展覧会DM、図録、作家プロフィール、掲載記事、ウェブページのスクリーンショットなどは、できるだけ作品情報と一緒に保管しておきましょう。
第8位 作品写真・設置場所の写真
最後におすすめしたいのが、作品写真と設置場所の写真です。
作品を購入したら、次のような写真を撮っておくと安心です。
・作品全体の写真
・サイン部分の写真
・裏面の写真
・額裏の写真
・箱やシールの写真
・証明書や資料の写真
・設置場所の写真
作品の写真は、状態の確認にも役立ちます。
購入時の状態、額装の状態、裏面の情報、箱や証明書の有無などを写真で残しておけば、後から見返しやすくなります。
また、法人や個人事業主として事業用に購入した作品の場合、どこに飾っていたかがわかる設置場所の写真も大切です。
オフィス、応接室、会議室、店舗、クリニック、サロン、アトリエ、撮影スペースなど、事業で使っている場所に飾っていたことがわかる写真は、後から説明する際にも役立つことがあります。
書類や付属品は、作品ごとにまとめて保管するのがおすすめです
書類や付属品は、できれば作品ごとにまとめて保管しておくのがおすすめです。
たとえば、1作品ごとにクリアファイルや封筒を用意し、次のようなものを入れておくと整理しやすくなります。
・領収書、請求書
・作品証明書、販売証明書
・作品リスト、キャプション
・展覧会DM、作家資料
・購入時のメールの印刷やスクリーンショット
・作品写真
・箱やシールの写真
箱がある作品の場合は、箱と書類が離れ離れにならないようにしておくと安心です。
また、スマートフォンやパソコンの中にも、作品ごとのフォルダを作っておくと便利です。
「作家名」「作品名」「購入年」などでフォルダ名を付けておくと、後から探しやすくなります。
まとめ|資料を残すことは、作品を次につなぐこと
アート作品を大切にするということは、作品そのものを丁寧に扱うことだけではありません。
その作品に関する情報を残しておくことも、作品を守る大切な手入れです。
作品証明書、鑑定書、販売証明書、作品裏や箱のシール、領収書、請求書、作品リスト、箱、黄袋、メール、展覧会資料、作品写真。
こうしたものは、将来的な査定や売却、相続、作品整理、保険、展覧会への貸出など、さまざまな場面で役立つことがあります。
「売るつもりはないから必要ない」と思うかもしれません。
でも、作品は時間をかけて受け継がれていくものです。
資料を残しておくことは、その作品がどのように選ばれ、どのように大切にされてきたのかを次に伝えることでもあります。
特に、現代アートや若手作家の作品は、購入した方が情報を残しておくことで、将来の評価や資料性につながる場合もあります。
アート作品を買ったら、作品だけでなく、書類や付属品もできるだけ捨てずに保管しておきましょう。
買取井浦では、美術品の査定・買取だけでなく、売却方法のご提案、相続や作品整理に関わるご相談も承っております。
作品証明書がない場合や、箱・シール・資料の見方がわからない場合でも、まずはお気軽にご相談ください。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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