この記事では、児玉幸雄作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。
油彩、水彩、グワッシュ、リトグラフ、シルクスクリーン、ポスター、印刷物など、作品の種類による違いや、サイン、キャンバス裏の記載、鑑定証書、画廊シール、図録掲載、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。
児玉幸雄のプロフィール
児玉幸雄(こだま ゆきお、1916年〜1992年)は、大阪市に生まれた洋画家です。関西学院大学を卒業後、田村孝之介に師事し、洋画家として制作を続けました。
児玉幸雄の作品は、パリをはじめとするヨーロッパの街角や広場、市場、カフェ、花屋、港町などを描いた風景画で広く知られています。明るく温かみのある色彩と、やわらかな筆づかいによって、街に集う人々の気配や、日常のにぎわいを表現しました。
とくにパリの広場や花市、朝市を描いた作品では、建物や街路、人々の姿が軽やかに描かれ、旅先の風景でありながら、どこか親しみやすい空気が感じられます。風景の正確な記録というよりも、街の雰囲気や人々の暮らしの温度を描いた作家といえます。
油彩作品を中心に、版画作品も制作しており、国内の百貨店や画廊でも親しまれてきた洋画家です。
作風と代表的な作品テーマ
児玉幸雄作品の魅力は、明るい色彩と穏やかな筆致、親しみやすい街景表現にあります。画面には、建物、広場、花屋、市場、カフェ、通行人などが描かれ、ヨーロッパの街の日常的な雰囲気が表れています。
代表的なテーマには、パリ、広場、街角、花市、朝市、カフェ、港町、ヨーロッパ風景、人々のいる風景などがあります。華やかでありながら強く主張しすぎず、室内にも飾りやすい明るさがあることも、児玉幸雄作品の魅力です。
児玉幸雄の風景画には、観光名所を大きく描くというより、街の片隅や広場のにぎわいを優しくとらえる作品が多く見られます。小さく描かれた人物や花の色彩が、画面にリズムと生活感を与えています。
また、パリだけでなく、南仏、ブルターニュ、オンフルール、ヴェニス、アマルフィ、尾道、宮島など、国内外の風景を描いた作品も見られます。いずれも、土地の空気や人の気配をやわらかく描き出す点に、児玉幸雄らしさがあります。
児玉幸雄作品の市場での見られ方
児玉幸雄作品は、国内オークションでも継続して取引されています。市場で中心となるのは、キャンバスに油彩で描かれた肉筆作品です。F3号、F4号、F6号、F8号、F10号、F15号、F20号など、比較的飾りやすいサイズの作品が多く見られます。
確認できるオークションデータでは、F3号からF8号前後の油彩作品が数十万円台で取引される例が多く見られます。パリ風景、朝市、花市、街角、港町など、児玉幸雄らしさが分かりやすい主題では、エスティメートを上回る落札例もあります。
特に、パリの朝市や市場、セーヌ通り、モンマルトル風景、花市などは、作家の人気主題として確認したいところです。明るい色彩、人々のにぎわい、街並みの温かい雰囲気が伝わる作品は、児玉幸雄作品としての魅力が伝わりやすくなります。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Saint-Cloud-s-town/2FF8FEFBE9F76A7FA6F35050DDD84805
サイズが大きく、作品内容が充実しているものでは、さらに高く評価される例があります。F10号以上の朝市やパリ風景、F15号の街景、P20号やF20号の作品では、鑑定証書や画集掲載、画廊シールなどの資料が評価の参考になります。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Morning-on-Rue-de-Seine/8FD410F333C6B6573274EC2017F410C1
一方で、児玉幸雄は人気のある洋画家ですが、作家名だけで一律に評価が決まるわけではありません。油彩作品であっても、モチーフ、サイズ、保存状態、鑑定証書、画廊シール、エスティメートの設定によって、市場での反応に差が出ることがあります。
版画作品は、油彩とは別の価格帯で見られます。リトグラフやシルクスクリーンでは、サイン、エディション番号、遺族サインの有無、版元情報、紙の状態、額装状態を確認します。複数点セットやポスター、印刷物は、肉筆油彩とは評価の見方が異なります。
また、児玉幸雄作品では、鑑定証書や画廊シールも重要な確認材料になります。東京美術倶楽部鑑定委員会、東美鑑定評価機構鑑定委員会の鑑定証書、日動画廊や白鳳梅田画廊などのシール、画集掲載の有無は、作品を確認するうえで参考になります。
市場での見方は、おおまかに次のように分けられます。
- 油彩作品:児玉幸雄作品の中心的な評価対象です。サイズ、主題、サイン、裏面記載、鑑定証書、保存状態を確認します。
- パリ風景・朝市・花市:作家らしさが分かりやすい人気主題です。街のにぎわいや人物表現、色彩の明るさを確認します。
- 港町・ヨーロッパ風景:オンフルール、ブルターニュ、ヴェニス、南仏、アマルフィなどの風景も見られます。
- 国内風景:尾道や宮島など、日本の風景を描いた作品もあり、主題やサイズによって見方が変わります。
- 紙作品・グワッシュ:油彩とは異なる見方になります。技法、状態、サイン、鑑定証書を確認します。
- 版画作品:リトグラフ、シルクスクリーンなどがあります。サイン、遺族サイン、エディション番号、紙の状態を確認します。
児玉幸雄作品は、明るく親しみやすい街景表現で人気がありますが、査定では作品形式、主題、サイズ、鑑定証書、画廊シール、保存状態を総合的に確認することが大切です。
児玉幸雄作品の査定で確認したいポイント
児玉幸雄作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。油彩なのか、水彩やグワッシュなのか、リトグラフなどの版画なのか、ポスターや印刷物なのかによって、査定で見るポイントが異なります。
査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。
- 作品の種類:油彩、水彩、グワッシュ、リトグラフ、シルクスクリーン、ポスター、印刷物など
- 主題:パリ、朝市、花市、街角、広場、カフェ、港町、ヨーロッパ風景、国内風景など
- サイズ:F3号、F4号、F6号、F8号、F10号、F15号、F20号など
- サイン:画面上のサイン、キャンバス裏のサインやタイトルを確認します
- 鑑定資料:東京美術倶楽部鑑定委員会、東美鑑定評価機構鑑定委員会などの鑑定証書
- 来歴資料:日動画廊、白鳳梅田画廊などの画廊シール、購入時資料、展覧会歴など
- 文献掲載:『児玉幸雄画集』などへの掲載があるかを確認します
- 版画の情報:サイン、遺族サイン、エディション番号、版種、シート状態、額装状態
- 保存状態:ヒビ、剥落、絵具の縮み、絵具の浮き、シミ、ヤケ、波打ち、額装の傷みなど
油彩作品では、画面だけでなくキャンバス裏の情報も重要です。裏面にサイン、タイトル、画廊シール、鑑定に関わるシールなどがある場合は、作品を確認する手がかりになります。
児玉幸雄作品では、絵具の縮み、浅いヒビ、剥落、絵具の浮き、ピンホールなどの状態記載が見られることがあります。こうした状態は作品の評価に影響する場合があるため、画面全体だけでなく、縁沿いや四隅、額装の状態も確認します。
版画作品では、サイン、エディション番号、遺族サインかどうか、紙のヤケやシミ、波打ち、マージンの状態を確認します。複数点セットの場合は、各作品のタイトル、状態、額装状態もあわせて見る必要があります。
画集掲載作品や鑑定証書付きの作品は、作品を判断するうえで重要な資料になります。ただし、資料があることだけで評価が決まるのではなく、作品内容、サイズ、保存状態、現在の市場での需要をあわせて確認します。
児玉幸雄作品は、パリやヨーロッパの街角にある明るさと人の気配を描いた作品として親しまれています。査定では、作家らしい主題か、油彩か版画か、サイズや資料が確認できるか、保存状態に大きな問題がないかを丁寧に見ていくことが大切です。
児玉幸雄作品の買取・査定でよくあるご質問
Q. 児玉幸雄の油彩作品は査定できますか?
A. はい、査定可能です。パリの街角、朝市、花市、港町、ヨーロッパ風景など、児玉幸雄らしい主題の油彩作品は丁寧に拝見いたします。作品全体、サイン、キャンバス裏、鑑定証書、画廊シール、額装状態の写真があると確認しやすくなります。
Q. 版画やリトグラフも買取対象になりますか?
A. 版画やリトグラフもご相談いただけます。油彩作品とは評価の見方が異なりますので、サイン、エディション番号、遺族サインの有無、紙のシミやヤケ、額装状態などを確認します。複数点まとめてのご相談も可能です。
Q. 鑑定書や購入時の資料がなくても相談できますか?
A. はい、資料がない場合でもご相談いただけます。作品全体、サイン、裏面、額裏、シールや書き込み、状態が気になる部分の写真をお送りください。確認できる範囲から、作品形式や査定の見どころを丁寧に拝見いたします。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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