速水御舟の買取・査定|日本画・写生・複製版画の市場価値を解説

この記事では、速水御舟作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。

日本画、紙本彩色、絹本彩色、水彩、鉛筆、色鉛筆、墨彩、写生、下絵、木版、複製リトグラフ、工芸画、作品集など、作品の種類による違いや、落款、印、鑑題シール、共箱、文献掲載、展覧会歴、来歴、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。

目次

速水御舟のプロフィール

不明 – Adachi Bijitsukan, Tokyo, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2023453による

速水御舟(はやみ ぎょしゅう、1894年〜1935年)は、東京に生まれた日本画家です。本名は速水蒔田。若くして日本画の才能を示し、院展を中心に活動しました。短い生涯ながら、近代日本画に大きな足跡を残した作家です。

速水御舟の作品は、写実的な観察と、装飾的で緊張感のある構成に特徴があります。初期には細密な描写を追求し、のちに古典や東洋画、西洋絵画への関心も取り入れながら、独自の日本画表現を展開しました。

代表作としては、重要文化財に指定されている《炎舞》がよく知られています。炎のまわりを舞う蛾を描いたこの作品は、幻想性、写実性、装飾性が一体となった近代日本画の代表的作品です。また、《名樹散椿》など、花木を主題にした作品にも御舟らしい鋭い観察と構成力が表れています。

画像
《炎舞》

速水御舟は、人物、花鳥、動物、昆虫、風景、静物など幅広い主題を扱いましたが、いずれの作品にも、対象をただ美しく描くだけではない、強い集中力と精神性が感じられます。

作風と代表的な作品テーマ

速水御舟の作品は、対象を深く見つめる観察力と、画面全体を引き締める構成力に特徴があります。細密に描かれた花や鳥、果物、人物、動物などにも、単なる写実を超えた静かな緊張感があります。

代表的なテーマには、花鳥、動物、昆虫、人物、風景、静物、果物、草花、鳥、鶏、鶴、桜、牡丹、柘榴、茄子、朝顔などがあります。小さな写生や下絵であっても、御舟らしい観察の鋭さが感じられる作品は、丁寧に見たい分野です。

New Leaves
速水御舟1915
https://artsandculture.google.com/asset/new-leaves/3gEwOTbTxNe0oQ?hl=ja

速水御舟の魅力は、華やかな大作だけではありません。鉛筆や水彩、色鉛筆による写生にも、対象をどのように見ていたかが表れます。本画に至る前の研究や観察の跡が残る資料的な作品も、市場では一定の関心を集めています。

一方で、御舟の代表作をもとにした複製リトグラフ、木版、工芸画、作品集なども流通しています。これらは鑑賞用として親しまれていますが、肉筆作品とは市場での見られ方が大きく異なります。

速水御舟作品の市場での見られ方

速水御舟作品は、近代日本画を代表する作家の作品として、美術市場でも高い関心を集めています。ただし、流通する作品には、肉筆の本画、写生、下絵、水彩、墨彩、鉛筆作品、複製版画、工芸画、作品集などがあり、作品形式によって価格帯は大きく変わります。

市場で特に重要になるのは、肉筆作品かどうか、そして作品の来歴や資料がどこまで確認できるかです。文献掲載、展覧会歴、旧蔵歴、共箱、鑑題シールなどがそろう作品では、通常の写生や複製作品とは異なる見方がされます。

実際のデータでも、文献掲載や展覧会歴、来歴が確認できる肉筆作品では、高額帯で評価される例が見られます。花鳥、静物、動物、草花など、御舟らしい観察と構成が伝わる作品は、市場でも注目されやすい傾向があります。

一方で、評価の高い作家であっても、必ず落札されるとは限りません。文献掲載や共箱、鑑題シールがある作品でも、エスティメート設定が高い場合や、状態面に注意点がある場合には、市場で慎重な選別が働くことがあります。

写生や下絵、水彩、鉛筆、色鉛筆、墨彩の作品も多く見られます。これらは本画とは異なる位置づけですが、速水御舟の制作過程や観察眼を伝えるものとして大切に扱われます。鑑題シールや画室印、旧蔵資料が確認できる場合は、査定時に重要な手がかりになります。

ただし、紙作品ではヤケ、シミ、シワ、中折れ、裏打ち、パネル貼付、紙の毛羽立ち、ピンホール、修復などが見られることもあります。御舟作品は古い紙作品も多いため、状態の確認はとても重要です。

複製リトグラフ、木版、工芸画、作品集は、肉筆作品とは別の価格帯で見られます。《炎舞》や《鍋島の皿に柘榴》など、よく知られた図柄の複製作品は流通例がありますが、落款や印が版上のものか、エディション番号があるか、版元シールがあるかを確認する必要があります。

速水御舟作品は、作家名だけで一律に判断することが難しい分野です。肉筆の本画なのか、写生や下絵なのか、複製版画や工芸画なのかによって、市場での見られ方は大きく変わります。査定では、作品形式、主題、落款、印、鑑題シール、文献掲載、来歴、保存状態を総合的に確認することが大切です。

速水御舟作品の査定で確認したいポイント

速水御舟作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。肉筆の日本画作品なのか、水彩、鉛筆、色鉛筆、墨彩による写生や下絵なのか、木版やリトグラフ、工芸画、作品集などの複製関連作品なのかによって、市場での見られ方は大きく異なります。

査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。

  • 作品の種類:紙本彩色、絹本彩色、水彩、鉛筆、色鉛筆、墨彩、写生、下絵、木版、リトグラフ、工芸画、作品集など
  • 作品形式:額装、軸装、扇面、色紙、画集、シート作品など
  • 主題:花鳥、動物、人物、風景、草花、果物、鶏、鶴、桜、牡丹、柘榴、茄子、朝顔など
  • 落款・印:画面上の落款、印、画室印、御舟画稿印、版上落款かどうかを確認します
  • 鑑題・箱書き:吉田幸三郎、吉田耕三、速水夏彦、小林古径などの鑑題シールや鑑題箱を確認します
  • 文献・展覧会歴:速水御舟大成、展覧会図録、作品集、旧蔵資料、出品歴を確認します
  • 来歴:旧蔵者、画廊シール、購入時資料、過去のオークション記録などを確認します
  • 保存状態:ヤケ、シミ、シワ、中折れ、裏打ち、パネル貼付、紙の毛羽立ち、剥落、修復、テープ跡など

速水御舟作品は、近代日本画の中でも資料確認が重要な作家です。査定では、作品形式、主題、落款、印、鑑題シール、共箱、文献掲載、展覧会歴、来歴、保存状態を整理し、肉筆作品と複製作品を丁寧に分けて確認していきます。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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