ル・コルビュジエの版画や絵をお持ちで、現在の評価や売却について知りたいとお考えでしょうか。
建築家として知られるル・コルビュジエですが、絵画や素描、版画など、美術の分野でも多くの作品を残しています。
作品を確認する際には、図柄やサイズに加えて、技法、サインの種類、限定番号、作品集の一部かどうかなどが手がかりになります。
この記事では、実際のオークションデータをもとに、美術商の視点からル・コルビュジエ作品の特徴と、査定で確認したいポイントをご紹介します。
ル・コルビュジエのプロフィールと美術制作

ル・コルビュジエ(Le Corbusier、1887〜1965)は、スイスに生まれ、フランスを中心に活動した建築家・芸術家です。本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ。「ル・コルビジェ」と表記されることもあります。
建築や都市計画と並行して、絵画や素描などの制作にも取り組みました。画家アメデ・オザンファンとともに「ピュリスム(純粋主義)」の運動を進め、絵画、建築、出版、インテリアなど、多方面で活動しています。参考:国立西洋美術館「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」
絵画制作は、その活動の中で大切な位置を占めていました。ル・コルビュジエ財団によると、1917年から1965年までに450点以上のキャンバス作品を制作しています。参考:ル・コルビュジエ財団・絵画作品の紹介
版画にも、人物や動物、手、器などの形を組み合わせた、建築とはまた違う表現の面白さがあります。

ル・コルビュジエ・センター
ル・コルビュジエ作品の市場での見られ方
今回確認した実際のオークションデータでは、リトグラフの出品・取引例が多く見られました。そのほか、エッチングやアクアチント、紙に描かれた肉筆作品、版画集なども確認できます。
版画では、直筆サインの記載がある作品だけでなく、版上サインの作品にも繰り返し取引例がありました。
また、単品で出品された版画と、複数枚をまとめた版画集では、確認する内容が異なります。同じ作家名や似た図柄であっても、発行された作品の種類まで確かめることが大切です。
査定では、まずどの作品なのかを確認し、図柄、技法、サイズ、サイン、限定番号、保存状態、付属資料などをあわせて拝見します。

La Femme et le Moineau
ル・コルビュジエ1957
直筆サインと版上サインを分けて確認します
ル・コルビュジエの版画で、確認したいポイントの一つがサインです。
直筆サインは、紙などに直接書かれた署名です。一方、版上サインは、署名も図柄とともに印刷されているものを指します。
今回の記録では、版上サインのリトグラフにも、さまざまな取引例が確認できました。そのため、印刷されたサインだからという理由だけで、ご自身で判断する必要はありません。
ただし、直筆か版上かだけで評価が決まるわけでもありません。作品の発行内容や技法、図柄などとあわせて確認します。
鉛筆やインクの文字、限定番号らしい数字が見える場合は、その部分も写真に撮ってお知らせください。記載の意味が分からない場合も、そのままで大丈夫です。
リトグラフでも、発行内容はさまざまです
今回のデータには、限定番号のある版画のほか、作品集に収められたもの、展覧会ポスターとして制作されたものなどが含まれていました。
同じ「リトグラフ」という技法でも、発行の目的や形態には違いがあります。
ポスターと記載された作品にも取引例があるため、「ポスターだから相談できない」ということはありません。制作年、発行元、印刷所、余白にある文字なども確認の手がかりになります。
また、作品名が「作品」とだけ記録されている例もありました。題名が分からなくても、図柄や寸法、サイン、購入資料などから確認を進められます。
版画集は、奥付やケースも一緒に保管してください
今回の記録には、複数枚からなる版画集や、オリジナル版画を収めた画集もありました。
こうした作品では、一枚ずつの図柄や状態に加え、収録枚数、表紙、本文、奥付、ケースなどを確認します。奥付とは、出版や発行に関する情報が記載されたページのことです。
各作品に版上サインがあり、巻頭などに直筆サインや限定番号が記されている例も確認できました。額装された一枚だけでは分からない情報が、元の本やケースに残っていることがあります。
同じシリーズらしい作品が複数ある場合や、箱・冊子が一緒に残っている場合は、まとめてお知らせください。額に入った作品を取り外したり、本からページを切り離したりする必要はありません。
紙に描かれた肉筆作品は、版画と分けて拝見します
今回のデータには、鉛筆やパステルで紙に描かれた肉筆作品もありました。
直接描かれた作品と、版を使って刷られた作品では、市場での見られ方が異なります。紙に描かれているというだけで、同じ種類の作品として扱うことはできません。
肉筆作品では、描写や素材、制作年、サインに加え、来歴や展覧会図録への掲載なども確認します。
「版画なのか、直接描かれたものなのか分からない」という場合も、ご自身で結論を出す必要はありません。まずは全体写真と、お手元の資料から拝見します。
紙の余白や裏面の状態も確認します
版画や紙の作品では、図柄が刷られた部分だけでなく、周囲の余白や裏面の状態も確認します。
今回の記録には、余白が残っている作品のほか、余白が切られたもの、台紙などに固定されたものもありました。額に入った状態では見えない部分にも、作品を確認する情報があります。
ただし、確認のために無理に額を開けたり、作品を台紙から剥がしたりする必要はありません。まずは見える範囲の写真をお送りください。
シミやヤケ、紙の波打ちなどが気になる場合も、そのままの状態で拝見します。
ル・コルビュジエ作品の査定で確認したいポイント
査定では、主に次の点を確認します。
- 作品の種類:版画、肉筆作品、版画集、ポスターなど
- 技法:リトグラフ、エッチング、アクアチント、鉛筆、パステルなど
- 図柄・作品名:人物、動物、静物、シリーズ名など
- サイズ:図柄の大きさと、分かれば紙全体の寸法
- サイン・限定番号:直筆か版上か、数字や記号の記載
- 発行情報:出版社、印刷所、奥付など
- 付属資料:ケース、冊子、画廊シール、購入時の書類、関連図録など
- 保存状態:紙や色の状態、余白、裏面、額装など
外国語の題名や、意味の分からない番号があっても問題ありません。文字を読み取れる写真が、確認の手がかりになります。
ル・コルビュジエ作品についてよくあるご質問
サインが印刷されているようですが、相談できますか?
はい、ご相談いただけます。今回確認した記録でも、版上サインの作品に取引例がありました。サインの種類とあわせて、図柄や技法、発行内容などを確認します。
作品名が分からなくても大丈夫ですか?
はい。作品全体と、サインや限定番号、余白の文字などの写真をお送りください。画廊のシールや購入時の資料があれば、あわせて拝見します。
版画集の一部や、何枚かまとまった作品も見てもらえますか?
はい、まとめてご相談いただけます。作品のほかに、表紙や奥付、ケース、解説冊子などが残っていれば、一緒にお知らせください。そろっているか分からない場合も、まずはお手元にあるものから確認します。
ル・コルビュジエ作品の買取・査定をご希望の方へ
買取井浦では、ル・コルビュジエの版画、素描、版画集などの査定・買取についてご相談を承っています。
作品1点から、複数作品やコレクションの整理まで、全国から無料相談を承ります。
まずは、スマートフォンで撮影した写真2枚をお送りください。
- 作品全体が分かる写真
- サイン・限定番号、または作品裏面の写真
版画集の場合は、表紙や奥付、ケースなどの写真もあると確認しやすくなります。
「建築が好きで購入した版画について知りたい」「家族から受け継いだ作品を整理したい」「売却を決める前に、現在の評価を確認したい」といったご相談も歓迎しています。
作品について確認できた内容を踏まえて、売却についてはゆっくりご検討いただけます。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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