後藤純男の買取・査定|日本画・大和路・雪景色作品の市場価値を解説

この記事では、後藤純男作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。

日本画、紙本彩色、絹本彩色、リトグラフ、手彩色版画、ポスター、工芸的複製、印刷物など、作品の種類による違いや、落款、印、共シール、鑑定証書、エディション番号、保存状態の確認ポイントをわかりやすく解説します。

目次

後藤純男のプロフィール

後藤純男(ごとう すみお、1930年〜2016年)は、千葉県に生まれた日本画家です。真言宗の寺に生まれ、若い頃から日本画を学び、山本丘人や田中青坪に師事しました。戦後から平成にかけて、院展を中心に活躍した日本画家として知られています。

後藤純男の作品は、日本各地の風景や中国の山河を、重厚で荘厳な画面として描いた点に特徴があります。大和路の寺院、塔、雪景色、北海道の雄大な自然、中国の山水や古都などを主題に、静けさと祈りを感じさせる日本画を制作しました。

寺に生まれた背景もあり、後藤純男の風景画には、単なる名所風景ではなく、仏教的な精神性や祈りの感覚が重なっています。建物や山水を描いていても、画面全体には澄んだ空気と静かな緊張感があり、見る人に深い余韻を残します。

また、北海道上富良野町には後藤純男美術館が開館しており、現在もその画業が紹介されています。日本の風景と精神性を結びつけた現代日本画家として、広く親しまれている作家です。

Sumio Goto Kinkaku in greenery lithograph
https://www.mutualart.com/Artwork/Kinkaku-in-greenery/F95066313A089EAF

作風と代表的な作品テーマ

後藤純男の作品は、重厚な色彩と緻密な描写、広がりのある構図に特徴があります。自然や建築を丁寧に描きながら、画面全体に厳かな雰囲気を生み出しています。

代表的なテーマには、大和路、寺院、塔、雪景色、北海道、富良野、中国風景、山水、桜、月、祈り、静寂などがあります。特に、奈良や京都の寺院を描いた作品、雪の風景、北海道の自然、中国を取材した風景画は、後藤純男らしさが分かりやすい主題です。

作品には、華やかさよりも、静かで深い美しさがあります。雪に包まれた寺院や、霞の中に浮かぶ塔、中国の広大な山水などは、現実の風景でありながら、どこか心象風景のようにも感じられます。

また、肉筆の日本画だけでなく、リトグラフなどの版画作品も流通しています。版画作品では、後藤純男らしい風景主題を比較的身近に楽しめるものとして見られますが、肉筆作品とは市場での見られ方が異なります。

後藤純男作品の市場での見られ方

後藤純男作品は、戦後から平成にかけて活躍した日本画家の作品として、国内オークションでも継続的に取引されています。市場の中心になるのは、紙本彩色や絹本彩色による肉筆の日本画作品です。

特に確認したいのは、大和路、雪景大和、塔映、春雪、秋の大和、富士、北海道や高原の風景など、後藤純男らしい静かな風景主題です。寺院や塔、雪景色を描いた作品は、作家の特徴が伝わりやすく、市場でも比較的見られやすい分野です。

小品では、10万円前後から20万円台で取引される例が見られます。新雪や大和の春、塔映など、小さな画面でも主題が分かりやすく、落款と印、共シールが確認できる作品は丁寧に見たいところです。

6号から10号前後の作品では、20万円台から50万円台で取引される例が多く見られます。雪景大和、春雪大和、秋の大和、雪の塔映など、後藤純男らしい風景主題では、共シールや鑑定証書の有無、画面状態によって評価に差が出ます。

30号など大きめの作品では、さらに高い価格帯で見られることがあります。大和路や海、広がりのある自然風景など、画面に奥行きがあり、保存状態や鑑定資料が整っている作品では、市場での評価が伸びる例もあります。

後藤純男作品の査定で確認したいポイント

後藤純男作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。肉筆の日本画作品なのか、リトグラフなどの版画作品なのか、ポスターや工芸的複製、印刷物なのかによって、市場での見られ方は変わります。

査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。

  • 作品の種類:紙本彩色、絹本彩色、日本画、リトグラフ、手彩色版画、ポスター、工芸的複製、印刷物など
  • 作品形式:額装、掛軸、屏風、色紙、版画、複数点セットなど
  • 主題:大和路、寺院、塔、雪景色、北海道、富良野、中国風景、山水、富士、桜、月、高原、海など
  • 落款・印:画面上の落款、印、サイン、版画のサインと印を確認します
  • 付属資料:共シール、共箱、鑑定証書、購入時資料、画廊シール、展覧会資料など
  • 鑑定資料:東美鑑定評価機構鑑定委員会の鑑定証書などを確認します
  • 版画情報:エディション番号、版元、シートサイズ、余白、手彩色の有無などを確認します
  • 保存状態:シミ、ヤケ、ヒビ、剥落、絵具の変質、コスレ、波打ち、パネルからのハガレ、額装の傷みなど

肉筆作品では、落款と印、紙本か絹本か、サイズ、額装状態、共シールの有無を確認します。後藤純男作品では額付の日本画が多く見られるため、作品表面だけでなく、額裏や共シール、書き込みも大切な確認材料になります。

大和路や雪景色、塔を描いた作品では、後藤純男らしい静けさや奥行き、建築と自然の調和を見ます。同じ大和路の作品でも、春、秋、雪、朝、夕景など、季節や時間帯によって印象が変わるため、画題と構図を丁寧に確認します。

鑑定証書がある作品では、証書の内容と作品の一致を確認します。画面サイズ、タイトル、落款、印、額裏の情報、共シールの有無が一致しているかを見ることで、作品確認がしやすくなります。

版画作品では、リトグラフか手彩色版画か、サインと印があるか、エディション番号が確認できるかを見ます。複数点セットの場合は、すべての作品の状態、額装、シートのヤケやシミ、裏面のテープ貼付なども確認します。

状態面では、日本画のシミ、ヤケ、ヒビ、剥落、絵具の変質、コスレ、額装による傷みを見ます。紙作品では、波打ちやパネルからのハガレが見られる場合もあります。状態に傷みがある場合でも、主題やサイズ、資料の有無によって見方が変わるため、現状を丁寧に確認することが大切です。

後藤純男作品は、静かな風景表現と精神性が魅力の作家です。査定では、作品の雰囲気だけでなく、肉筆か版画か、主題、サイズ、落款、印、共シール、鑑定証書、保存状態を整理し、作品ごとの市場での見られ方を確認していきます。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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