この記事では、加山又造作品の実際のオークション結果をもとに、本画、素描、版画、陶芸との合作作品などの市場傾向を整理しています。落札価格だけでなく、作品の種類、モチーフ、鑑定書、共シール、共箱、文献掲載、保存状態など、査定で確認されやすいポイントもあわせて解説します。
加山又造 ―― 略歴と画業
加山又造(かやま またぞう、1927〜2004)は、京都市の西陣織の図案師の家に生まれた、戦後日本画を代表する画家です。京都市立美術工芸学校、東京美術学校(現在の東京藝術大学)日本画科で山本丘人に師事し、卒業後は新制作協会日本画部、創画会を主な発表の場としました。
裸婦・動物・山水・花鳥といった伝統的な画題に、前衛的な構成と装飾的な色面を大胆に持ち込み、戦後日本画に新しい地平を切り拓いた作家として知られています。1997年に文化功労者、2003年には文化勲章を受章し、東京藝術大学教授も務めました。
作風と代表作 ―― 装飾と前衛の融合
加山又造は、初期にはモジリアニやピカソに通じる構成的な裸婦像を描き、その後、琳派や宋元画を強く意識した装飾的な日本画へと展開していきました。金地・銀地に大胆なフォルムをのせる構図、墨と岩絵具を駆使した立体感ある表現は、加山ならではの大きな特色です。
代表作として、《迷える鹿》、《千羽鶴》、《雪月花》三部作、《雪》《月》《花》連作、日本橋三越本店のステンドグラスや天井画などが知られています。また、多数のリトグラフ・木版画・銅版画を発表しており、版画家としての評価も非常に高い作家です。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Tropical-fish-1988/A60693F5C17EBC7C14C0877306DA152B
日本オリジナル版画のお家芸でもあるメゾチント。その名品として知られています。
加山又造作品のオークション市場の実態
加山又造作品は、国内オークションで安定した需要が見られる作家です。特に紙本・彩色などの本画は評価が高く、動物、風景、花、裸婦などのモチーフによって価格帯が大きく変わります。
確認できるデータでは、紙本・彩色の《若い猫》が大きく伸びた例があり、猫や鶴、冬山、大正池、黒牡丹など、加山又造らしい主題の本画は市場でも注目されやすい傾向があります。一方で、同じ本画でもエスティメートや状態、モチーフによって不落札となる例もあり、作品ごとの選別が働いています。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Young-cat/56F2A08365B9D9A610AA1B7F9872D9DE
市場での見方は、おおまかに次のように分けられます。
- 本画:紙本・彩色、キャンバスに彩色など。加山哲也鑑定書、共シール、共箱、文献掲載がある作品は評価の重要な手がかりになります。
- 素描・習作:裸婦素描や婦人像などが見られます。本画より価格帯は落ち着きますが、サイン、印、共シール、鑑定書の有無が確認ポイントになります。
- 版画作品:メゾチント、ビュラン、木版、リトグラフ、アクアチントなどが多く流通しています。数万円台から十数万円台の例が多く、人気図柄や状態によって差が出ます。
- 陶芸・合作作品:金重素山、今泉今右衛門、大樋長左衛門などとの合作も見られます。共箱、展覧会歴、図録掲載の有無が評価に関わります。
加山又造作品では、版画の流通量が比較的多いことも特徴です。共同通信社No.や版画廊No.などのレゾネ番号が記載された作品が多く、サイン、エディション番号、版元シール、フルマージンの有無が査定時の確認材料になります。
加山又造作品は、本画、素描、版画、陶芸合作で価格帯が大きく異なります。作家名だけで判断するのではなく、作品の種類、モチーフ、鑑定資料、来歴、保存状態を分けて確認することが大切です。
加山又造作品の査定で確認したいポイント
加山又造作品を査定する際は、まず本画か、素描か、版画か、陶芸との合作かを確認します。特に本画と版画では市場での評価軸が大きく異なるため、最初の見分けが大切です。
査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。
- 作品の種類:紙本・彩色、キャンバスに彩色、素描、版画、陶芸・合作作品のどれにあたるか
- モチーフ:猫、鶴、馬、花、風景、裸婦、虫、魚など、加山又造らしい主題か
- 落款・印・サイン:画面やマージンに落款、印、サインがあるか
- 鑑定書:加山哲也鑑定書など、作品確認に関わる資料があるか
- 共シール・共箱:額裏の共シール、軸装の共箱、陶芸作品の共箱があるか
- 文献掲載:展覧会図録、全集、雑誌表紙などへの掲載があるか
- 版画情報:共同通信社No.、版画廊No.、エディション番号、版元シールがあるか
- 保存状態:ヤケ、シミ、波打ち、ヒビ、絵具の浮き、剥落、テープ跡、額装の傷みなどがないか
本画では、落款や印だけでなく、鑑定書、共シール、共箱、文献掲載が重要です。特に動物や風景など、加山又造らしさがはっきり出た作品では、サイズや状態とあわせて評価されやすい傾向があります。
版画では、技法と状態の確認が大切です。メゾチントやビュラン、木版、リトグラフなどはそれぞれ評価の見方が異なり、サインやエディション番号、レゾネ番号、版元シールがあるかどうかを確認します。
状態面では、紙作品や版画にヤケ、シミ、波打ち、テープ跡が見られることがあります。本画でもヒビ、絵具の浮き、剥落、変色などが確認ポイントになります。状態に不安がある場合でも、作品内容や資料の有無によって評価されることがあります。
加山又造作品は、見た目の美しさだけでなく、鑑定資料や掲載情報が評価に関わりやすい作家です。作品全体、落款・印、サイン、裏面、額裏、共シール、鑑定書、共箱、図録、状態が気になる部分の写真があると、作品の位置づけを整理しやすくなります。
買取でよくあるご質問
Q. 加山又造のリトグラフは買取してもらえますか?
A. はい。加山又造のリトグラフや木版、メゾチントなどの版画作品も多数取り扱っております。サインやエディション番号の有無、レゾネ番号、版元シール、保存状態によって評価が変わります。
Q. 額装が古くシミが出ているのですが、価値はどう変わりますか?
A. 額装の経年や軽微なシミは、古い作品では見られることがあります。評価では、額だけでなく、版画や本画そのものの状態、ヤケ、シミ、波打ち、テープ跡などをあわせて確認します。作品本体の状態が良い場合は、額装の傷みだけで大きく評価が下がらないこともあります。
Q. 鑑定書や共シールがないのですが、買取は可能ですか?
A. はい、ご相談いただけます。加山又造作品では、鑑定書、共シール、共箱、図録掲載、旧蔵者の情報などが評価の手がかりになります。資料が残っている場合は、作品写真とあわせてご提示いただくと確認しやすくなります。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 香月泰男・東郷青児・荻須高徳・藤田嗣治など戦後洋画の買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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