【古賀春江の作品ガイド】日本シュルレアリスムの先駆者 ── 査定・買取のポイント

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古賀春江の略歴──日本シュルレアリスムの先駆者

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古賀春江(こが はるえ、1895〜1933)は、福岡県久留米市に生まれた洋画家です。本名は古賀僊太郎。太平洋画会研究所で学んだのち、フォーヴィスム、キュビスム、そしてシュルレアリスムへと次々に画風を転換し、日本における前衛絵画の道を切り拓きました。わずか38歳で早世しましたが、その短い生涯に残した作品群は、大正から昭和初期の日本美術史に鮮烈な足跡を刻んでいます。1922年に二科展で樗牛賞を受賞し、以後二科会の中心メンバーとして活躍。ヨーロッパの最新潮流をいち早く吸収し、独自の詩的世界観へと昇華させた功績は、没後90年以上を経た今なお高く評価されています。

作風と代表作──詩情あふれるシュルレアリスム

古賀春江の画業は大きく三期に分けられます。初期はフォーヴィスム的な奔放な色彩表現、中期はキュビスムの幾何学的構成、そして後期はシュルレアリスムの夢幻的世界へと深化しました。代表作《海》(1929年)は、モダンな水着の女性・飛行船・潜水艦・魚などを一画面に共存させた作品で、日本のシュルレアリスム絵画を象徴する一枚として広く知られています。明るい色調と透明感のある構成、そして機械と生命が溶け合う不思議な詩情が、古賀春江の絵画を唯一無二のものにしています。

古賀春江 – https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=4596, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118020515による

『海』(1929年)東京国立近代美術館蔵
『涯しなき逃避』(1930年、ブリヂストン美術館蔵)
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市場価値・査定のポイント

古賀春江は38歳で早世したため、油彩作品の現存数は少なく、市場に出る機会は非常に限られています。主要作品の多くが美術館に収蔵されていることから、個人所蔵の油彩が出品された場合には、数百万円〜数千万円台の評価となるケースもあります。

一方で、水彩や素描・スケッチ類は比較的流通が見られ、数十万円〜数百万円の範囲で取引されています。

査定においては、

・制作年代(初期・中期・後期)
・技法(油彩・水彩・素描)
・モチーフ
・来歴(展覧会出品歴・旧蔵)
・保存状態

が重要な判断材料となります。

特に、後期のシュルレアリスム期にあたる作品は美術史的評価が高く、市場でも評価が伸びやすい傾向があります。

また、額装の裏面に残るラベルや書き込みは、来歴や真贋判断の重要な手がかりとなるため、無理に手を加えず、そのままの状態でご相談いただくことをおすすめします。

オークション市場の実態

近年のオークション結果を見ると、古賀春江の作品は一定数の流通がありながら、価格の動きには明確な特徴が見られます。

まず、市場で最も多く流通しているのは水彩や素描などの紙作品で、落札価格は20万円〜40万円前後が一つのボリュームゾーンとなっています。初期の風景や静物といった作品は比較的この価格帯に収まる傾向がありますが、同じ水彩作品でも100万円を超える例も確認されており、単純な技法やサイズでは評価が決まらないことがわかります。

油彩作品は流通数こそ多くありませんが、80万円〜150万円前後での取引が見られます。ただし、この価格帯であっても不落札となるケースが一定数存在しており、「評価が高い=必ず売れる作家ではない」という特徴がはっきりと表れています。

特に注目すべきなのは、価格の振れ幅の大きさです。
展覧会出品歴や文献掲載が確認できる作品、あるいは古賀春江の前衛性が強く表れた重要作では、数百万円規模の落札例も見られ、同一作家内での評価差が非常に大きい市場構造となっています。

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このことから、古賀春江は

「相場で安定して語れる作家」ではなく、
作品ごとの内容・来歴によって評価が大きく分かれる作家

であると言えるでしょう。

また、全体的に不落札の割合が高い点も特徴であり、

・モチーフ
・作品の完成度
・来歴(展覧会歴・旧蔵・文献掲載)

といった要素が揃わない場合、エスティメートに届かないケースも少なくありません。

一方で、これらの条件が揃った作品は評価が大きく伸びる可能性があり、「選別が非常に強く働く市場」であることが、古賀春江の最大の特徴と言えます。

判断が難しいからこそ、事前の確認が重要です

このように、古賀春江の作品は評価が高い一方で、実際の売買においては判断が難しい側面を持っています。

だからこそ、

・いま売るべきか
・どの市場に出すべきか
・そもそも評価が見込める作品か

といった点は、一般的な相場だけで判断するのが難しいケースも多く見られます。

当店では、これまでの取引経験と市場データをもとに、作品ごとの特徴や来歴を踏まえたうえで、無理のない形でのご提案を行っております。

「売れるかどうか分からない」という段階でも問題ありません。
まずは作品全体とサイン・裏面などが分かる写真だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

買取でよくあるご質問

Q. 古賀春江の作品かどうか、どのように真贋を判断するのですか?

A.古賀春江の真贋判断は、サインや画風だけでなく、制作時期ごとの様式、支持体や絵具の状態、来歴(旧蔵・出品歴)などを総合的に確認して行います。

特に古賀春江は作品数が少なく、美術史的にも重要な位置づけにあるため、慎重な見極めが必要とされる作家です。
当店ではまず実物や写真をもとに一次的な見立てを行い、図録や文献との照合を踏まえて判断いたします。

そのうえで、正式な鑑定が必要と判断される場合には、東京美術倶楽部鑑定委員会などの専門機関へのご相談についてもご案内が可能です。

いきなり鑑定に出すのではなく、まずは確認の段階からでも問題ありません。写真だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

Q. 価値があるか分からないのですが、相談しても大丈夫ですか?

A.もちろん問題ありません。古賀春江の作品は評価の幅が大きく、ご本人やご家族でも判断が難しいケースが多く見られます。まずは写真だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

Q. 版画やリトグラフはありますか?

A.古賀春江は木版やリトグラフといった版画作品も確認されていますが、油彩や水彩に比べると流通量は多くなく、市場の中心となるジャンルではありません。実際のオークションでは数万円前後での取引が中心となっており、油彩・水彩とは異なる評価軸で扱われるジャンルです。

一見判断が難しいケースも多いため、まずは作品の種類や状態を確認したうえでご案内いたします。お手元にある場合は、写真だけでもお気軽にご相談ください。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 香月泰男・東郷青児・荻須高徳・藤田嗣治など戦後洋画の買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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