ピカソの買取・査定|なぜ数万円から数千万円まで価格差があるのか解説します

「ピカソなのに数万円で買える作品があるの?」「同じピカソなのに、なぜ数百万円、数千万円になる作品もあるの?」そう感じたことがある方は少なくないと思います。

美術品の価値は、作品を見ただけではなかなか分かりにくいものです。

この記事では、美術商の目線から、実際のオークション市場で取引されているピカソ作品のデータをもとに、価格の違いがどこで生まれるのかをわかりやすく解説します。

目次

パブロ・ピカソのプロフィール・略歴

https://ja.wikipedia.org/

パブロ・ピカソ(Pablo Picasso、1881年〜1973年)は、スペイン出身の画家・彫刻家・版画家です。20世紀美術を代表する巨匠として知られ、フランスを拠点に生涯にわたり膨大な作品を制作しました。

幼少期から卓越した才能を示し、青の時代、バラ色の時代を経て、ジョルジュ・ブラックとともにキュビスムを創始しました。その後も、古典主義的な人物表現、シュルレアリスム的な作品、陶芸、版画など、時期によって大きく作風を変えながら制作を続けました。

1937年の《ゲルニカ》は、スペイン内戦を背景にした20世紀を代表する反戦絵画として広く知られています。絵画だけでなく、版画、陶芸、彫刻など多方面に革新的な作品を残し、現代美術の方向性そのものに大きな影響を与えました。

作品はパリのピカソ美術館やソフィア王妃芸術センターをはじめ、世界各国の主要美術館に収蔵されています。

作風と代表的な作品テーマ

ピカソの作品は、時代ごとに大きく変化する作風そのものが特徴です。初期の「青の時代」では、貧困や孤独をテーマに青を基調とした作品を描き、その後の「バラ色の時代」では、サーカス芸人や人物像を温かみのある色彩で表現しました。

1907年頃からは、対象を幾何学的に分解して再構成するキュビスムを展開します。人物、静物、楽器などを複数の視点から描く手法は、それまでの西洋絵画の見方を大きく変えました。

Angela Hu from United States – Picasso’s Guernica – impressive up close, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=75227946による

《ゲルニカ》のような美術館級の代表作は広く知られていますが、実際にオークション市場で流通するピカソ関連作品は、版画、陶器、ポスター、挿画本など多岐にわたります。

ピカソ作品のオークション市場の実態

ピカソの作品は、日本国内オークションでも非常に幅広く取引されています。ただし、ひとことで「ピカソ作品」といっても、肉筆、オリジナル版画、セラミック、リトポスター、挿画本、複製版画などがあり、種類によって価格帯は大きく異なります。

一般の方が戸惑いやすいのは、「ピカソなのに数万円の作品もある一方で、数百万円、数千万円になる作品もある」という点です。この差は、ピカソ本人が制作にどこまで関わった作品なのか、またサインやエディション番号、作品資料が確認できるかによって生まれます。

高額になりやすいのは、ピカソ本人のオリジナル版画、Comité Picassoの鑑定書がある真筆素描、マドゥーラ窯のセラミックなどです。直筆サイン、エディション番号、作品集番号、ウォーターマーク、窯印などが確認できる作品は、市場でも重要な評価対象になります。

Pablo Picasso, Bouquet of Peace, 1958, lithograph on paper.
1958年にストックホルムで開催された平和会議のポスターとして制作されました。
出典:MutualArt
https://www.mutualart.com/galleries/fern-hill-gallery/artworks/pablo-picasso-bouquet-of-peace-flowers
Pablo Picasso, La Pique.
南フランスのヴァローリスにあるマドゥーラ工房にて制作されたエディション作品です。
出典:MutualArt
https://www.mutualart.com/Artwork/La-pique/DD1CEEA26CC3E96C

このように、同じピカソ関連作品でも、リトグラフやポスター系作品と、マドゥーラ工房のセラミック作品では、評価されるポイントが異なります。紙作品では制作背景、サイン、エディション、保存状態が重視され、セラミックでは窯印、エディション、形状、絵付け、状態などが確認対象になります。

一方で、After Picassoと表記される複製系の版画や、エスタンプ、リトポスター、挿画本の一部などは、数万円から十数万円台で取引される例もあります。一般の方が「ピカソなのに思ったより安い」と感じる作品の多くは、このような複製系や流通量の多い作品です。

また、After Picassoと書かれている作品でも、すべてが同じ評価になるわけではありません。ジャック・ヴィヨン版やギー・スピッツァー版のように、制作背景や版元、技法、サイン、エディションがしっかり確認できるものは、一般的な複製ポスターとは別に評価されることがあります。

ピカソは世界的な巨匠ですが、名前だけで価格が決まるわけではありません。作品の種類、サインの内容、エディション、資料の有無、保存状態によって、市場評価は大きく変わります。

高いピカソ作品と手頃なピカソ作品の違い

ピカソ作品の価格差を考えるときは、まず「本人のオリジナル作品か、原画をもとにした複製系の作品か」を見ると分かりやすくなります。

高く評価されやすいのは、ピカソ本人が制作したオリジナル版画や、真筆の素描、マドゥーラ窯で制作されたセラミック作品です。これらは、レゾネ番号、直筆サイン、エディション番号、窯印、鑑定書などによって作品の位置づけを確認できる場合があります。

一方で、一般のご家庭で見かけるピカソ作品には、複製版画、リトポスター、エスタンプ、挿画本の一部なども多く含まれます。これらはピカソの図柄を楽しめる作品ですが、本人のオリジナル版画や真筆作品とは市場での見られ方が異なります。

たとえば、額装されていて見た目が立派でも、サインが印刷された「版上サイン」のみであったり、エディション番号やレゾネ番号が確認できなかったりする場合は、価格帯が落ち着きやすい傾向があります。

逆に、小さな作品でも、直筆サイン、限定部数、レゾネ掲載、ウォーターマーク、鑑定書などが確認できる場合は、強く評価されることがあります。ピカソ作品では、見た目の大きさだけでなく、作品の種類と確認資料がとても重要です。

ピカソ作品の査定で見られるポイント

ピカソ作品の査定では、まず作品の種類を確認します。肉筆、版画、陶器、ポスター、複製版画では、同じピカソの名前が付いていても市場での見られ方が異なります。

版画の場合は、直筆サインか、版上サインか、スタンプサインかを確認します。見た目にはサインがあるように見えても、印刷されたサインと本人の直筆サインでは評価が変わります。

あわせて、エディション番号、作品集番号、ウォーターマーク、シートサイズ、マージンの状態も確認します。Bloch、Geiser、Mourlot、Cramerなどの番号は、ピカソ版画を確認するうえで重要な資料になります。

セラミックの場合は、MADOURAの窯印、EDITION PICASSOの刻印、Alain Ramié番号、エディション番号を確認します。皿や花瓶のような形でも、これらの情報が揃うとピカソ陶器として評価されます。

査定時には、次のような点を確認します。

  • 肉筆、オリジナル版画、セラミック、ポスター、複製版画のどれにあたるか
  • ピカソ本人の制作に関わる作品か、After Picassoの複製系作品か
  • 直筆サイン、版上サイン、スタンプサイン、サインなしのどれか
  • エディション番号や作品集番号の有無
  • Bloch、Geiser、Mourlot、Cramer、Alain Ramiéなどの資料番号
  • ウォーターマークやシートサイズ、マージンの状態
  • セラミックの場合は、MADOURAの窯印やEDITION PICASSOの刻印
  • 鑑定書、来歴、額裏のシール、購入時の資料の有無
  • ヤケ、シミ、波打ち、テープ跡、マージンカット、ヤブレ、修復などの保存状態

状態も大切な確認ポイントです。ピカソほど評価の高い作家でも、ヤケ、シミ、波打ち、テープ跡、マージンカット、ヤブレ、修復などがある場合は、査定額に影響することがあります。

また、鑑定書や資料がある場合でも、それだけで価格が決まるわけではありません。作品の種類、図柄、サイン、状態、市場での需要をあわせて判断します。

ピカソ作品の買取・査定に関するよくある質問

Q. ピカソの作品はどのくらいの価格で取引されていますか?

A. 作品の種類によって大きく異なります。複製版画やリトポスターでは数万円台の例もありますが、直筆サイン入りのオリジナル版画、真筆素描、マドゥーラ窯のセラミックなどでは数十万円から数百万円、条件が揃うと1,000万円を超えることもあります。

Q. ピカソなのに安い作品があるのはなぜですか?

A. ピカソ作品には、本人が制作したオリジナル版画や陶器のほか、原画をもとにした複製版画、リトポスター、挿画本の一部などがあります。複製系や流通量の多い作品は、ピカソの名前があっても価格帯が落ち着きやすい傾向があります。

Q. 家にピカソっぽい絵がありますが、価値があるか分からなくても相談できますか?

A. はい、ご相談いただけます。ピカソ作品は、オリジナル版画、複製版画、リトポスター、挿画本の一部など、見た目だけでは判断しにくいものが多くあります。作品全体、サイン、エディション番号、額裏、裏面のシールや資料を確認することで、どのような種類の作品か見えてくる場合があります。

Q. サインがあれば高くなりますか?

A. サインは重要ですが、直筆サイン、版上サイン、スタンプサインで意味が異なります。印刷されたサインの場合は、直筆サインとは評価が変わります。あわせてエディション番号やレゾネ番号、作品の種類を確認することが大切です。

Q. After Picassoとは何ですか?

A. After Picassoは、ピカソの原画や図柄をもとに、別の版元や職人が制作した作品を指すことがあります。一般的な複製版画に近いものもあれば、ジャック・ヴィヨン版やギー・スピッツァー版のように市場で評価されるものもあります。

Q. ピカソの陶器も査定できますか?

A. はい、査定できます。マドゥーラ窯のセラミック作品では、底部のMADOURA窯印、EDITION PICASSOの刻印、Alain Ramié番号、エディション番号などを確認します。皿や花瓶のような形でも、作品として評価される場合があります。

Q. 状態が悪くても相談できますか?

A. はい、ご相談いただけます。ピカソ作品では、ヤケ、シミ、波打ち、テープ跡、マージンカット、ヤブレ、修復などが見られることがあります。状態は査定に影響しますが、作品の種類や資料によって評価される場合もあります。

Q. 写真だけでも相談できますか?

A. はい、写真のみでもご相談いただけます。作品全体、サイン部分、エディション番号、裏面、額裏、資料、陶器の場合は底部の刻印や窯印、状態が気になる部分を撮影していただくと確認しやすくなります。

ピカソ作品の査定・ご相談について

ピカソ作品は、肉筆、オリジナル版画、複製版画、リトポスター、セラミックなど、種類によって評価の見方が大きく変わります。特に、直筆サインか版上サインか、エディション番号やレゾネ番号があるか、陶器の場合は窯印や刻印があるかが重要です。

写真のみのご相談も可能ですので、作品全体、サイン部分、エディション番号、裏面、額裏、資料の記載、陶器の場合は底部の刻印や窯印、状態が気になる部分などを撮影してお送りください。

売却を前提にしていない場合でも、「これはどういう種類のピカソ作品なのか」「今どのように見られるのか」といった段階から丁寧に確認いたします。

執筆・監修

井浦歳和 — 株式会社ロイドワークスギャラリー代表
WRITTEN & SUPERVISED BY
井浦 歳和 (いうら としかず)
株式会社ロイドワークスギャラリー 代表 / 美術商・画商
  • ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
  • ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
  • ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
  • ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
  • ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応

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