この記事では、清水規作品の市場傾向と査定ポイントを、美術商として実際に作品を確認する際の視点も交えながら整理しています。
紙本彩色による肉筆の日本画、富士や寺院風景、古塔、渓流、雪景、紅葉作品、リトグラフやミストグラフなどの版画作品について、作品形式や主題による違いをわかりやすく解説します。
清水規のプロフィール
清水規(しみず のり、1962年〜)は、東京都に生まれた日本画家です。創形美術学校を卒業後、絵画保存研究所に勤務し、横山大観や横山操などの作品修復にも関わりました。
1989年に銀座松屋で個展を開催し、1990年には埼玉県秩父市にアトリエを構えます。その後も百貨店や画廊で個展を重ね、東京セントラル美術館日本画大賞展への招待出品、東美アートフェアへの出品などを通じて、現代日本画の作家として活動してきました。
清水規の作品は、富士、浅間山、寺院、古塔、渓流、湖、桜、紅葉、雪景など、日本の自然や名所を題材にした風景画で知られています。特に、赤富士、月明富士、黎明富士、金閣寺、三井寺、薬師寺、当麻寺、奥入瀬など、四季の光や空気を感じさせる主題が多く見られます。
画面には、細やかな描写と鮮やかな色彩、澄んだ空気感があります。伝統的な日本画の素材や技法を用いながら、現代の暮らしの中にも飾りやすい、明るく品のある風景表現を築いている作家です。
作風と代表的な作品テーマ
清水規の作品は、緻密な描写と明快な色彩、日本の四季を感じさせる風景表現に特徴があります。富士山や寺院、古塔を描いた作品では、構図の安定感と、季節の光をとらえる感覚が魅力です。
代表的なテーマには、富士、赤富士、紅富士、月明富士、黎明富士、浅間山、古塔、金閣寺、銀閣寺、薬師寺、三井寺、当麻寺、奥入瀬、桜、紅葉、雪景、渓流、漁火などがあります。
富士を描いた作品では、朝焼け、月明かり、雪、雲、桜などが組み合わされ、親しみやすさと格調をあわせ持つ画面になります。寺院や古塔を描いた作品では、歴史ある建築と自然の景色が調和し、日本画らしい落ち着いた美しさが表れます。
また、清水規は肉筆の日本画だけでなく、リトグラフ、シルクスクリーン、ミストグラフ、手彩色を加えた版画作品なども制作しています。同じ富士や寺院の主題でも、肉筆作品と版画作品では市場での見られ方が異なるため、作品形式の確認が大切です。
清水規作品の市場での見られ方
清水規作品は、現代日本画の風景作品として、国内オークションでも継続的に取引されています。市場の中心になるのは、紙本彩色による肉筆の額装作品です。落款と印、共シールが確認できる作品が多く、富士や寺院、古塔、渓流、山景などを描いた作品が中心です。
価格帯としては、10号前後の共シール付き作品で10万円前後から30万円台の取引例が多く見られます。富士、赤富士、紅富士、新雪富士、寺院風景、紅葉、新緑など、清水規らしい主題が明確な作品は、市場でも見られやすい傾向があります。
特に評価が伸びやすいのは、寺院や古塔と季節感が組み合わさった作品です。清水寺、金剛輪寺、西明寺、東大寺、石山寺、金閣寺などの名所を描いた作品では、紅葉や新緑、雪景などの色彩が加わることで、画面に華やかさと奥行きが生まれます。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Autumn-in-Kiyomizu-temple/85BB7DD9B8E4D128E40F24A554F96DE0
富士を描いた作品も流通量の多い主題です。赤富士、紅富士、朝富士、新雪富士、富岳、月明富士などがありますが、価格は一律ではありません。小品でも評価が伸びる例がある一方で、15号前後の作品でも不落札となる例があり、同じ富士主題でも画面の出来や価格設定によって差が出ます。

引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Mt–Fuji/0AB7D8ABC3DB18DF06D101B70CF54625
20号以上の作品や30号前後の大きな作品では、主題の強さと構図の見応えが重要です。大きければ必ず高く評価されるわけではありませんが、寺院風景や紅葉、新緑など、清水規らしい色彩と季節感がしっかり表れた作品では、高い評価につながることがあります。
一方で、共シール付きであっても必ず落札されるとは限りません。エスティメートが高めに設定された作品や、主題の印象がやや弱い作品、画面にヤケ、シミ、ヒビ、ヤブレ、コスレなどがある作品では、市場で慎重な選別が働くことがあります。
リトグラフやミストグラフに手彩の作品は、肉筆の紙本彩色とは別の価格帯で見られます。サイン、印、エディション番号、版元シール、版面やマージンの状態を確認し、肉筆作品とは分けて考えることが大切です。
清水規作品は、作家名だけで一律に判断するのではなく、肉筆か版画か、主題、サイズ、共シール、保存状態を総合的に見る必要があります。富士、寺院、古塔、紅葉、新緑、渓流など、作家らしさが伝わる作品は査定時に丁寧に確認したい分野です。
清水規作品の査定で確認したいポイント
清水規作品を査定する際は、まず作品の種類を確認します。紙本彩色による肉筆の日本画なのか、リトグラフ、シルクスクリーン、ミストグラフ、手彩入り版画なのかによって、市場での見られ方は大きく変わります。
査定時に確認したい主なポイントは、次の通りです。
- 作品の種類:紙本彩色、リトグラフ、ミストグラフ、シルクスクリーン、手彩入り版画など
- 主題:富士、赤富士、紅富士、新雪富士、寺院、古塔、紅葉、新緑、渓流、山景、湖、滝、海景など
- サイズ:4号、6号、10号、15号、20号、30号、40号、60号など、号数や実寸を確認します
- 落款・印:画面上の落款、印、版画の場合はサインや印を確認します
- 共シール:額裏の共シール、作品名、作家名、貼付状態を確認します
- 資料:出展作品シール、版元シール、購入時資料、画廊資料などを確認します
- 保存状態:ヤケ、シミ、ヒビ、ヤブレ、コスレ、波打ち、額装状態などを確認します
清水規作品は、富士や寺院、古塔、渓流などを通して、日本の四季と光を描いた点に魅力があります。査定では、肉筆か版画か、主題、サイズ、落款、印、共シール、資料、保存状態を整理し、作品ごとの市場での見られ方を確認していきます。
執筆・監修
- ▸ 2009年、東京都文京区湯島にてロイドワークスギャラリー創業
- ▸ 美術品・絵画の買取/展示/査定/鑑定業務に30年以上従事
- ▸ BSフジ「ブレイク前夜」プロデュース
- ▸ 戦後洋画から近代日本画まで買取/査定実績多数
- ▸ 油彩/パステル/リトグラフ/デッサン/陶板画まで幅広く対応
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